日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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バイオメカニクス ポスター発表

[05 バーポー02] 短距離クロール泳における体幹ローテーションの解明

体幹捻転動作と手部速度の関係について

〇兵頭 洋樹1、和田 匡史2、仙石 泰雄3 (1.国士舘大学大学院 工学研究科、2.国士舘大学 理工学部、3.筑波大学 体育系)

競泳競技における泳速度は、ストローク頻度とストローク長の積によって決定される。Kennedy et al. (1990) は、ストローク頻度を上昇させることでより高い泳速度の獲得を報告している。ストローク頻度は、手部の移動速度である手部速度と移動方向に依存するため、手部速度は泳速度向上を考える上で重要な指標であることがいえる。またクロール泳では、上肢動作と連動し体幹部を回転させる体幹ローテーションが行われる。Payton et al. (2002) は、体幹ローテーションは手部の移動方向に影響しており、同時に手部速度にも影響を及ぼすことを報告している。そのため本研究では、短距離クロール泳中のキネマティクスを分析し、クロール泳中の体幹ローテーションと手部速度の関係を明らかにすることを目的とした。被験者は、全国大会出場経験を有する男子自由形短距離競泳選手であった。測定動作は実験用回流水槽にて10秒間の無呼吸でのクロール泳を2試技実施した。泳動作はモーションキャプチャ(ノビテック社製)を用いた3次元動作分析にて測定し、身体の実座標値をもとにストローク頻度、手部速度、肩と腰のローテーション角度、肩と腰のローテーション角速度を算出した。また、肩と腰のローテーション角度の差から体幹捻転角度を算出した。その結果、異なる泳速度での試技間で、体幹捻転角度の変化率とPush局面における肩のローテーション角速度の間で、有意な正の相関関係が認められた (r = .74, p< .05)。また、Push局面における肩のローテーション角速度と鉛直方向への手部速度の変化率の間においても、有意な正の相関関係が認められた (r = .60, p< .05)。以上のことより、体幹捻転角度の増加はPush局面における肩のローテーション角速度に影響を及ぼし、その結果、Push局面の鉛直方向に対しての手部速度にも関連していることが推察された。