[06 経ーポー02] 実技教科におけるリモート授業の実態
リモート授業を実施した保健体育教員のインタビュー調査より
新型コロナウイルスの感染拡大は世界的に大きな影響を与えているが、その影響は日本の教育界にも及んでいる。我が国で初めて緊急事態宣言が発出された2020年4月は、年度初めということもあり、教育現場では混乱が生じた。しかし、オンラインでのコミュニケーションツールを授業に取り入れようとする機運が現場の教員間の中で高まり、オンライン会議アプリを用いたリアルタイムでのリモート授業や無料動画投稿サイトやあらかじめ準備しておいたフォームに動画をアップロードし、それを学生や生徒が視聴、課題を提出するというオンデマンド型の授業を展開する教員が登場した。緊急事態宣言下に適応した授業形態の構築、教員のオリジナリティーあふれる動画投稿は、注目を浴びることとなり各種メディアに取り上げられた。しかし、その授業のほとんどは数学や国語といった座学による授業であり、保健体育のような実技を伴った授業については散見される程度であった。そのような中でも、実際にリモートで保健体育の実技授業を行う学校も存在した。そこで、本研究では実技科目を遠隔で行うという困難な状況にも関わらず、リモートで授業を実施した保健体育教員の動向を組織論の視点から明らかにする。そして、今後の新型コロナウイルス感染拡大により、保健体育の実技科目をリモート授業で開講せざるを得ない状況になった際に、多くの保健体育教員が迅速にリモート授業へ対応するための必要な知見を提供することを目的とした。