The 71st Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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Poster (Subdiscipline)

専門領域別 » Test and Measurement

測定評価 ポスター発表

[08 測ーポー05] コロナ禍を経験した幼児の運動能力

SMAC2019との比較と運動遊びの状況変化に関する調査から

〇Tomohiko Murase1 (1.Aichi University)

2020年3月の新型コロナウイルス感染拡大防止のための全国小中高などの臨時休校と同様に保育所なども原則休園になり幼児の生活習慣や遊び環境が一変した。コロナ禍を経験した幼児の運動能力の現状を明らかにする必要がある。しかし、幼児の運動能力については定期的に公表され、かつ比較的大きな標本に基づく参照可能な測定資料が限られている。本研究は、同一地域における継続した測定実施により得られた測定資料を利用し、2020年度前期にコロナ禍を経験した幼児の運動能力の現状を明らかにすることを目的とした。対象は2020年10月~12月に愛知県と岐阜県の幼稚園、保育園、こども園合計7園において測定に参加した3歳後半から6歳後半の男女児合計449名であった。測定項目は握力、立ち幅跳び、ソフトボール投げ、25m走、反復横跳び、体支持持続時間および長座体前屈の7項目であった。比較資料にはSMAC2019(村瀬ほか 2020;「体育の科学」)を利用した。また、各園におけるコロナ禍以前と以後の運動遊び状況などの変化について調査した。2020年度後期実施の測定結果とSMAC2019の平均値を比較した結果、有意差が認められたケースは少なかったが2020年度の方が低いケースも確認された。全体的には男女あるいは年齢段階に共通した一定の傾向は確認できなかった。運動遊びの状況変化に関する調査においては、7園全体では運動遊びの強度、屋内遊具遊びの回数、集団遊びの時間が減る傾向にあり、遊びの中の動きについては蹴る、回る・転がる、ぶら下がる、持つ・運ぶ、押す・引く動きが減る傾向が確認された。明確なコロナ禍の影響が確認されなかった背景には、園により調査の回答結果が同一でないことから、コロナ禍における身体活動量や運動遊び時間の減少を補う取り組みや運動遊び環境が各園で異なることが関係していると推測される。