日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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測定評価 ポスター発表

[08 測ーポー09] 視覚情報が打球の方向予測に及ぼす影響

〇白井 祐介1 (1.東海学園大学)

野手は、球種、配球、球速またはコースなどに加えて、打者の動作を手掛かりにして打球方向を判断していると考えられる。本研究では、打者から得られる視覚情報が打球の方向判断に及ぼす影響について検討を行なった。野球部への所属経験がある男子大学生10名 (競技歴: 11.3±1.5 年) を経験者群、野球部に所属した経験がない男子大学生10名を未経験者群とし、単純反応時間 (ディスプレイ上に白円が表示されてから、被験者が反応するまでの時間) と映像を用いた打球方向の判断課題を行なわせた。打球方向の判断課題は、映像を加工しない通常条件、打者の上半身をマスキングした上半身制限条件、打者の下半身をマスキングした下半身制限条件の3条件で実施した。被験者には、打球方向を可能な限り早く判断し、キーボード (一塁方向への打球はFキー、三塁方向への打球はJキー) で回答させた。単純反応時間には、群間で有意差が認められなかった。通常条件では、未経験者群 (499.4 ± 50.8 msec) と比較して経験者群 (423.5 ± 61.2 msec) の判断反応時間が有意に短かった (p < 0.05)。一方、下半身制限条件および上半身制限条件では、群間で判断反応時間に有意な差が認められなかった。単純反応時間には群間で差が認められなかったが、通常条件における打球方向の判断時間は経験者群の方が有意に短かったことから、経験者群は、映像を手がかりに打球方向を予測していることが示唆された。また、下半身制限条件および上半身制限条件では、群間で差が認められなかったことから、経験者群における短い打球方向の判断時間には、上半身または下半身から得られる特定の情報ではなく、上半身と下半身を合わせた全身の映像が重要である可能性が考えられた。