[08 測ーポー12] 潜在クラス分析によるアンチドーピングに対する競技者と一般人との意識の差
【緒言】ドーピングは法的に使用が禁止され、違反した場合は出場停止などの処置がとられる。しかしながら、ドーピングはなくならないのが現実である。その背景にはアンチドーピングへの様々な意識の違いが考えられる。そこで、本研究は競技者と一般人のアンチドーピングへの意識の違いを潜在クラス分析により検討する。【研究方法】F大学の体育系学部生321名、他学部生100名を対象に、「薬物の力を借りてもオリンピックでは最高のパフォーマンスを観たい」「金メダルを取れるなら寿命を10年縮めてもドーピングをする」など16項目の意見に賛同するか、反対かを問う質問を行った。2件法で得られたデータに潜在クラス分析を2群別々に行い、その潜在的クラス数、各クラスの人数、各項目に占める各クラスの比率を求めた。潜在クラス分析はRのpoLCA関数を用いた。【結果】両群ともに2クラスでのBICが最小となり、2クラスが想定された。また、両群ともクラス1は完全にドーピングを拒否する意識群で、クラス2はやや許容する群であった。体育系学部生は前者が146名、後者が175で、他学部生は前者が54名、後者が46とわずかであるが、体育系学部生の方が許容する者が多かった。「アンフェアなので絶対しない(u=-5.03,正は体育系の賛同が多いことを示す,p<0.01)」「健康を害するので絶対しない(2.83,p<0.01)」「ドーピングをして金メダルをとっても意味がない(-3.07,p<0.01)」「ドーピングをしてもばれない者もいるので検査は意味がない(2.87,p<0.01)」「ドーピング禁止と禁止しない2種類の競技会をつくればよい(2.22,p<0.05)」「健康を害さない程度のドーピングは認めてもよい(2.12,p<0.05)」「治療に使う薬まで禁止にするのはおかしい(2.32,p<0.05)」で両群に有意な比率の差が見られた。