日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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測定評価 ポスター発表

[08 測ーポー14] キネマティクス時系列データの共変関係に基づくカーリングデリバリーフォームの分析

〇小林 秀紹1 (1.札幌国際大学)

 本研究はカーリングのデリバリーフォームにおけるキネマティックス変量の時系列データに対して動的時間伸縮法(DTW)を適用し、選手個人における変量間の共変関係を検討し、フォーム分析に効果的なアプローチになりえるかを検討した。DTWは時系列データ同士の距離・類似度を測る際に用いる手法である。波形の距離を求める手法としてはユークリッド距離やマンハッタン距離が知られているが、DTWは2つの時系列の各点の距離(誤差の絶対値)を総当たりで求め、全て求めた上で2つの時系列が最短となるパスを見つけ出す分析手法である。同手法は時系列同士の長さや周期が違っても類似度を求めることができる特徴があり、本研究では異なるストーン速度の速い遅いによるフォームの個人内変化(共変関係)を検討した。
 日本代表経験を有する3名の女子カーリング選手を対象とした。デリバリーフォームのキネマティクス変量は16個の慣性センサを貼付し、データを取得した。
 3名の選手は4種類(ドロー、ボードウエイト、テイク、アップウエイト)のウエイト(速度)についそれぞれ8試行実施した。その際、バックラインとホグラインに光電管を設定し、その間のストーン通過時間を測定した。
 本研究の結果、4種類のウエイトはその程度が適切にコントロールされ、それぞれ0.5秒程度の違いで速度が管理されていた、3名の選手個人間の速度差は0.1秒以内であり、選手間の差は窺えなかった。ドローウエイト時の骨盤の加速度はテイクショット時に比べて違いが窺えた。DTWの適用結果、4種類のストーン速度間において関係の程度は異なった。動作の一局面を切り取ることなくフォーム全体のキネマティクス変量の解析によって、異なる条件における個人内変量間の比較からパフォーマンスの個人特性を分析できることが確認された。