[09 方ーポー34] 動機づけ雰囲気に対するコーチとチームメイトの影響力
チーム・スポーツを対象として
スポーツ・チーム内の個人の動機づけを理解する上では、集団変数について着目することが肝要である。動機づけ領域における集団変数である動機づけ雰囲気(motivational climate)は、「個人が集団の雰囲気をどのように認知しているかを集計し、その集団の環境構造の違いを特定しようとする概念」(Ames,1992)であり、重要な他者であるコーチによって動機づけ雰囲気が形成されるという概念的な前提から、指導者の行動(coaching behavior)が動機づけ雰囲気に与える影響力についての検討が行われていたり(早乙女、2013;Smith et al., 2007)、チームメイトの振る舞いが動機づけ雰囲気へ及ぼす影響について検討がなされていたりする(平間・佐川、2015)。しかしながら、両者の動機づけ雰囲気に対する影響力の差異について実証した例は殆ど見受けられない(藤田・松永、2009)。そこで本研究では、動機づけ雰囲気に対して、コーチとチームメイトが如何に影響を及ぼし得るかについて検討することとした。東日本の運動部活動に所属する高校生341名(男性160名;女性181名、28チーム)を対象に、横断的な質問紙調査を行った。具体的には、動機づけ雰囲気の測定にPerceived Motivational Climate in Sport Questionnaire(Seifriz et al.,1992)の翻訳版を用い、「選手個人に対するチームメイトの振る舞い」に関する認知を平間・佐川(2012)が開発した質問紙によって測定し、コーチング行動については、Leadership Scale for Sport(Chelladurai and Saleh,1980)の翻訳版を用いて評価した上で、収集したデータをもとに、それらの関係性(因果関係)について構造方程式モデリングを用いて検証を行った。