日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育方法 ポスター発表

[09 方ーポー42] 男子プッシュスケルトンのスタートタイムに影響を及ぼす体力的要因

〇小口 貴久1、清野 隼2、進藤 亮祐1 (1.日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟、2.筑波大学体育系)

 スケルトン競技では、競技力向上のための要因の一つにスタートタイムの短縮があり、わが国では夏季トレーニングとして全天候型トラック上に敷いたレールにて、プッシュスケルトンが行われている。また、スタートパフォーマンスを体力的要因から評価するための指標として、コンバインテストが実施されているが、コンバインテストとスタートタイムの間の関係性について検証した研究はみられない。そこで本研究では、プッシュスケルトンのスタートタイムに影響を及ぼす体力的要因とその重要度を明らかにすることを目的とした。
 分析対象選手は、2020年全日本プッシュスケルトン選手権に出場した男子選手12名とし、競技会にて計測された公式記録を分析に用いた。コンバインテストは、30 m走、立幅跳、メディシンボール投げ(前投)、メディシンボール投げ(後投)、10秒ペダリング、スクワット、クリーンの7種目であった。コンバインテストとスタートタイムとの関係について、Spearmanの順位相関係数を用いて算出した。また、コンバインテスト間の重要度を明らかにするために、各種目を独立変数、スタートタイムを従属変数としたステップワイズ法および強制投入法による重回帰分析を用いた。なお、統計処理にはIBM SPSS Statistics ver.25(日本IBM社製)を用いて、有意水準を5%未満とした。
 コンバインテストとスタートタイムの関係について、30 m走を除く他の6種目とスタートタイムとの間に有意な負の相関がみられ、立幅跳がスタートタイムと最も高い相関を示した(ρ = —0.936, p < 0.001)。ステップワイズ法による重回帰分析の結果、立幅跳とスクワットの2種目が採用され、調整済み決定係数は0.931であった。これらのことから、プッシュスケルトンのスタートタイムには6種目の体力的要因が影響し、走幅跳とスクワットが重要であることが示唆された。