日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

講演情報

ポスター発表(専門領域別)

専門領域別 » 体育方法

体育方法 ポスター発表

[09 方ーポー57] 大学生に対する遠隔授業によるストレスマネジメント教育の効果について

セルフケア手法としてヨーガ療法を用いて

〇村上 真1、窪田 辰政2、水上 勝義3 (1.株式会社FiNC Technologies、2.静岡県立大学、3.筑波大学)

 コロナ禍で大学の授業形式も対面から遠隔への変更を余儀なくされている。本研究では、セルフケア手法としてヨーガ療法を用いたストレスマネジメント教育を遠隔授業により実施した効果を検討した。対象者はA県所在B大学での授業「ストレス対処のためのセルフケア~ヨーガ療法を用いて」に参加した大学生23名(男性9名、女性14名)である。講義は、ストレスの仕組み、ストレスマネジメント、ヨーガ療法の内容と効果等についての説明(約30分)、ヨーガ療法実習(約40分)で構成し、事前に動画を収録しYouTubeに掲載し、受講者が講義日(2020年6月)にこれを遠隔視聴する形式とした。講義動画冒頭で研究内容を説明し、同意を得た参加者に授業前後に質問紙(気分調査票・授業の感想)調査を実施した。

 調査尺度の時点間差異をノンパラメトリック検定により検討したところ、「疲労感」「不安感」の低下、「爽快感」が増加しストレス反応の改善がみられた。これは、対象者は異なるが2019年度に同大学生21名(男性5名、女性14名、未回答2名)に対して同内容の授業を対面形式で実施した際の結果とほぼ同様であった。授業に対する感想は、ストレス反応の改善を体感したというものが多数で調査尺度の改善を裏付けるものであった。遠隔授業形式に関連するものでは、「自分のペースで学習できる」ことが利点としてあげられた一方で、「呼吸法など相対的に複雑な技法の理解が困難」との欠点の指摘も見られた。「呼吸法指導では呼気時に声を出す」「図を用いながら指導する」ことで遠隔授業であっても理解が容易になるとの指摘があった。

 以上より、セルフケア手法としてヨーガ療法を用いたストレスマネジメント教育は、遠隔授業形式でも対面授業と同様の効果を有する可能性を持つこと、遠隔形式ゆえに理解が困難となる部分を補完する指導法の工夫が必要であることが示唆された。