日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表①

2021年9月8日(水) 13:45 〜 15:05 会場10 (Zoom)

座長:木島 章文(山梨大学)

13:45 〜 14:00

[学校保健体育-C-01] 幼児期の体力向上モデル事業の長期的活用地域における幼児の基本的な動きの変容

2007年と2014年の横断比較から

*篠原 俊明1、長野 康平2、中村 和彦3 (1. 共栄大学、2. 比治山大学短期大学部、3. 山梨大学)

 文部科学省は、子どもの体力向上を目指し、幼児が多様に動きを経験し、基本的な動きを身に付けることを目的として、2007年度から2009年度に「体力向上の基礎を培うための幼児期における実践活動の在り方に関する調査研究」、2012年度と2013年度に「幼児期の運動促進に関する普及啓発事業」、2014年度と2015年度に「幼児期の運動に関する指導参考資料作成事業」を展開した。本研究の対象地域では、これらの事業にすべて参加し、幼児が多様な動きを経験できるような運動遊びの実施や保育士の資質向上のための講習会、保護者への啓発活動や親子遊び等を実施した。事業終期は基本的な動きが質的に向上していると予想されるが、これまでに長期に亘る行政単位の大規模な取組と幼児の基本的な動きの習得との関係についての報告はない。行政単位による長期的な取組が幼児の基本的な動きに及ぼす影響を捉えることは重要であり、今後様々な取組を行う際の有用な情報になると考えられる。
 本研究では、上記の事業すべてを実施した地域の幼児を対象に、事業開始の2007年の幼児と事業終期の2014年の幼児における基本的な動きの習得状況を比較することを目的した。
 2007年は95名(男児45名、女子50名)、2014年は126名(男児57名、女児69名)の年少児から年長児までの幼児を対象とした。中村ほか(2011)が設定している7つの基本的な動きを撮影し、熟練した評価者2名が評価基準をもとに7つの動きを評価した。評価基準は5段階から成り、1点から5点までの得点を付し、7つの合計得点を動作発達得点として、性別・学年別にt検定を実施した。
 性別と年齢に関わらず、2014年の動作発達得点が有意に高値を示し、行政単位の長期的な取組は、幼児の基本的な動きの習得に寄与するといえる。このような長期的な事業終了後も地域独自で取組を継続していくことが必要となる。