日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

講演情報

テーマ別研究発表

学校保健体育研究部会 » 【課題C】体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表①

2021年9月8日(水) 13:45 〜 15:05 会場10 (Zoom)

座長:木島 章文(山梨大学)

14:00 〜 14:15

[学校保健体育-C-02] 幼児の筋機能の性差について

*淺川 正堂1、大坪 健太2,4、春日 晃章3 (1. 岐阜大学大学院、2. 兵庫教育大学大学院、3. 岐阜大学、4. 日本学術振興会特別研究員(DC2))

本研究は、幼児の筋機能における性差を明らかにすることを目的とした。対象は私立幼稚園に在籍する年長児219名(男児:108名、女児:111名)であった。測定項目は、握力、立ち幅跳び、体支持持続時間および足趾把持力の4項目に加えて身体測定2項目(身長および体重)の計6項目であった。分析に際して、男女2群間の月齢差、身長差および体重差についてt検定を用いて検討し、性差が認められないことを確認した。筋機能テスト4項目の主成分分析より得られた第一主成分得点を筋機能得点とした。筋機能の性差について各テスト項目および筋機能得点についてt検定を行うとともに効果量を算出した。分析の結果、握力、立ち幅跳び、足趾把持力および筋機能得点において有意な差が認められ、いずれも男児が女児と比べて高値を示した。効果量(Hedges’ g)は立ち幅跳び(0.69)、握力(0.52)、筋機能得点(0.50)、足趾把持力(0.37)の順に高い値を示した。一方で、体支持持続時間においては有意な差が認められず、平均値に着目すると、男児(57.0秒)よりも女児(63.4秒)の方が高値を示しており、他の筋機能項目とは異なる結果を示した。以上のことから、幼児の筋機能に関して、筋持久力では性差が認められないが、静的筋力および包括的に評価した筋機能は、男児が女児よりも優れていることが示唆された。男児は女児に比べて身体活動量が多い傾向にあり、園生活において、動的なごっこ遊びや集団遊びを多く行うのに対し、女児は静的なごっこ遊びや表現活動、制作活動などの一人遊びを多く行うことが報告されていることから、男児と女児の間には静的筋力を必要とする遊びの質に差があり、筋持久力を必要とする遊びの質に差がないことが考えられる。