日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表③

2021年9月8日(水) 13:45 〜 15:10 会場12 (Zoom)

座長:柏木 悠(専修大学)

14:35 〜 14:50

[学校保健体育-C-14] 水難事故防止に必要な水からの脱出能力についての検討

*鳥海 崇1、藤本 秀樹2 (1. 慶應義塾大学、2. 慶應義塾幼稚舎)

水難事故の発生要因の一つとして脱出問題が挙げられる。これは自然環境下で入水後に水から上がる(脱出する)際、壁際等まで移動したものの、陸上に上がることができない問題であり、水難事故を防止するために必要な15の能力(Water Competence)の中の1つでもある。急流などにおいて浮いて呼吸を確保する方法についての研究は多数あるが、岸に着いてから水から脱出する方法についての研究はほとんどないのが現状である(Connolly、 2014)。先行研究(Moran、 2014)では、足のつかない水面から高さ40cmのプールサイドへの脱出にも困難が生じると報告されている。ただしMoran(2014)ではプール、すなわち水底から天端のプールサイドまで垂直な壁で実施しており、実際の自然環境を想定した状況では実施していない。そこで本研究では、浮具(フロート)のような、水から脱出する際にバランスを失って下に潜り込む可能性のある形状への脱出の難易度について調査することを目的とした。調査は水泳授業を履修した大学生33名を対象とし、事前に被験者の水泳経験及び身長、体重について聴取した。続いて水着およびライフジャケット着用状態でプールからの脱出可否について測定を実施した。水深(足が着く/着かない)と水面からの高さ(同じ/30cm)等で5条件とした。結果はプールからの脱出の可否及びその難易度を5段階で判定した。被験者33名のうち足が着く水深からは全員脱出できた一方で、足が着かない水深の場合、脱出できなかった者は、高さ30cmのプールサイド、浮具を模擬した形状、の順に増加した。脱出可否と水泳歴[年]及びBMI[kg/m2]の関連を調べたところ、脱出できなかった被験者の多くは低水泳歴かつ高BMIの部類に属していた。今回の結果から、水から脱出するためには水泳歴やBMIが影響を与える可能性がうかがえた。