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[学校保健体育-C-16] 児童の主観的な振り返りを核にしたOPPシートの活用方法に関する事例的検討
小学校1年生のボールゲームにおける技能に着目して
平成29年に告示された小学校学習指導要領では、育成を目指す資質・能力が三つの柱に整理された。堀(2019)は、「資質・能力を育成するためには、学習者自身が自分の学びについて自覚していくことが重要です。OPPシートを用いることにより、認知の調整すなわちメタ認知的資質・能力を育成することが可能になります。」と述べ、OPPA論を提唱している。本研究では、児童自身が技能についての主観的な評価を記述することが可能なOPPシートを試作し、小学校1年生29名を対象としたボールゲームの授業実践を行った。語彙力が乏しい小学校1年生に対する学習カードとして、どのように活用することができるのかを事例的に検討することが本研究の目的である。今回試作したOPPシートの特徴は、児童自身が主観的に技能の達成度を評価する「できたメーター」を取り入れたことで、毎時間、長方形の枠に一本の直線を引いて達成度を表し、その長さとした理由や前時と変わった理由を「できたメーターの長さの理由」として記述させた。そして、児童一人一人が引いた「できたメーター」の直線までの長さを測って数値化し、毎時間のクラス全体の平均値の変化を統計的に分析した。また、「できたメーターの長さの理由」に記述された内容は、計量テキスト分析ソフトKH Coder(樋口、2017)を用いて、関連語検索に「できる」という語を設定し作成した共起ネットワークにより比較・検討した。その結果、授業が進むにつれ、児童一人一人が「できたメーター」に示した達成度は、統計的に有意に向上する傾向が示された。また、共起ネットワークの比較において、「できる」という語と共起関係にある語の数が変化するなど、小学校1年生が対象であっても児童自身が技能についての主観的な評価を記述する方法の一つとして、「できたメーターを取り入れたOPPシート」を活用することができる可能性が示唆された。