日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表④

2021年9月8日(水) 13:45 〜 15:15 会場13 (Zoom)

座長:末永 祐介(東京女子体育大学)

14:15 〜 14:30

[学校保健体育-C-18] ボール運動系領域におけるICT機器活用に関する研究(1)

ネット型を対象としたゲーム記録アプリケーションの開発

*藤田 育郎1 (1. 信州大学教育学部)

本研究は、ボール運動系領域を対象として、学習者の「できる」と「わかる」を結びつけることに貢献し得るICT機器活用の視点について、実際の授業実践の成果から探究していこうとするものである。
松木・加藤(2019)によるICT機器活用の現状調査では、小学校でICT機器が活用されている領域は器械運動が最も多く、ボール運動系では積極的に活用されているとは言い難い状況であることが見て取れる。加えて、松木・加藤(2019)は、ICT機器は、すべての領域で「問題解決の場面」で用いられるケースが多かったことを報告している。これをボール運動系領域に当てはめて考えてみると、自分たちのチームの課題点をチームメイトと共有し、その原因を分析したり、解決策を考え出したりする活動場面での活用が想定される。ボール運動は、基本的には「わかる」ことで「できる」ことにつながっていくタイプの運動であろう。ゲーム中の適切な意思決定および技能発揮の拠り所となる「戦術的気づき」を得られるようなICT機器の活用が視点の一つとして考えられるのではないだろうか。
本研究では、ネット型・連携プレイタイプのゲームを対象としたゲーム記録アプリケーションの開発を試み、それを活用した小学校5年生を対象とする授業実践の成果について検討した。その結果、単元を通したゲームパフォーマンスの向上が見られ、ゲーム記録アプリケーションを用いた作戦タイムにおける子どもたちのコミュニケーションの内容も単元経過とともに課題解決に直結する内容が増加していくことが確認できた。一方で、単元を通して活用することでアプリケーションの課題点も明らかになった。アプリケーションの操作性の問題や撮影した映像の蓄積の問題である。これらの点について改良を加えながら、さらに実践を重ねていきたい。