日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表⑤

2021年9月8日(水) 13:45 〜 15:15 会場14 (Zoom)

座長:松田 恵示(東京学芸大学)

14:15 〜 14:30

[学校保健体育-C-24] 総合的な学習の時間におけるアダプテッド・スポーツの検討

ボッチャを教材として

*齊藤 仁人1、澤江 幸則2、齊藤 まゆみ2 (1. 筑波大学大学院、2. 筑波大学)

現行の学習指導要領によると、総合的な学習の時間は探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目的としている。しかし、学習指導要領には具体的な指導方法の記述はなく、現場は混乱している。その様な中で、アダプテッド・スポーツ(矢部2004)はその場、個人の特性に応じてルール、用具を変更するといった課題解決能力に加え、障害や得意不得意に関する見方・考え方を働かせることができ、それらの運動学習場面での経験が、体育という幅にとどまらず、横断的な学習の可能性を秘めたものであると考えられる。そこで本研究では、横断的・総合的な学習としてアダプテッド・スポーツを取り入れていくことの有効性及び、実施していくための課題を検討することを目的とした。
対象は、A県内の特別支援学級のある小学校に在籍する児童563名・教員12名とした。方法は、20XX年10月から年度末までの小学校の総合的な学習の時間において、ボッチャを教材としたIPC公認教材であるI’mPOSSIBLEを活用し、座学、体験活動を取り入れた授業を展開し、授業前後及び学年末において質問紙調査を行い、一元配置分散分析を用いて分析した。調査項目は児童の「障害イメージ」、「障害者スポーツ」、「アダプテッドの視点」と教員の教材評価とした。その結果、体験活動後にアダプテッドの視点に関する項目がポジティブな方向に変化し、その後も定着していく傾向にあることが示された。また、児童は体験活動後に「障害者スポーツ」をよりスポーツとして捉えるようになり、横断的・総合的な学習として有効であることが示唆された。一方で、教員は今後授業として取り入れていくための阻害要因として、用具が高価であること、専門的な知識が必要であることを指摘しており、今後の課題となった。