日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表⑤

2021年9月8日(水) 13:45 〜 15:15 会場14 (Zoom)

座長:松田 恵示(東京学芸大学)

15:00 〜 15:15

[学校保健体育-C-27] 中学保健学習の習熟度特性

大学レベル別に見た習熟度の特性

*新田 倖亮1、大坪 健太2,3、春日 晃章4 (1. 岐阜大学大学院、2. 兵庫教育大学大学院、3. 日本学術振興会特別研究員(DC2)、4. 岐阜大学)

本研究は、中学保健学習の習熟度について大学レベル別に特性を明らかにすることを目的とした。対象は大学1,2年生の453名で、所属大学は国立大学(A大学)が184名(男性ː106名、女性ː78名)、教員養成系の私立大学(B大学)が80名(男性ː53名、女性ː27名)、保育者養成系の私立大学及び短期大学(C大学)が189名(男性ː6名、女性ː183名)であった。また入学時の偏差値は高い順にA大学、B大学、C大学であった。調査にあたり、新中学保健体育保健編の1章(心身の発達と心の健康)、2章(健康と環境)、3章(障害の防止)、4章(健康な生活と病気の予防)の全4章36項より、各項2問、計72問を設問した。解答形式は4択の選択式とし、得られた解答から大学ごとに総合正答率及び各章の正答率、各項目の正答率を算出した。3大学の習熟度の差を検討するため各大学の総合正答率及び、1~4章の正答率を用いて章ごとに対応のない一要因分散分析を用い、有意な主効果が認められた場合は多重比較検定を適用した。
分析の結果、総合正答率、1,3,4章ではA大学とC大学、B大学とC大学間において有意な差が認められ(A大学、B大学>C大学)、2章では全ての大学間に有意な差が認められ、A大学>B大学>C大学の順に高い値を示した。以上より、入学時の偏差値が高く、基礎学力が優れている大学生ほど中学保健学習の習熟度が高い傾向にあることが示された。また、大学ごとの各項目正答率において3大学とも低い傾向がみられる項目は1章の「体の発育・発達」や2章の「水の役割と飲料水の確保」、「生活排水の処理」、「ごみの処理」、4章の「食生活と健康」であった。基礎学力に関わらず正答率が低い項目では、保健教育において知識の指導に偏ることなく、実生活に関連させた指導や学んだ知識を活用する力を養うといった指導の改善をしていく必要があると推察された。