日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題B】競技スポーツにおけるコーチ養成をいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題B】口頭発表①

2021年9月8日(水) 09:00 〜 10:05 会場15 (Zoom)

座長:國部 雅大(筑波大学)

09:15 〜 09:35

[競技スポーツ-B-02] エリートパラバドミントン選手におけるスマッシュ動作の研究

体幹動作および筋力とパフォーマンスの関係について

*林 忠男1、大束 忠司1 (1. 日本体育大学)

バドミントン競技のスマッシュ動作においては体幹からの動作が重要であることが容易に考えられる。その際、利き腕の反対の腕はスイングする腕とのバランスをとる役割をしており前腕から先が欠損しているパラアスリートにおいては体幹の動作に何らかの影響があることが考えられる。世界ランカーのIMT選手と健常者の大学エリートバドミントン選手のスマッシュにおける体幹動作の違いを分析しIMT選手のパフォーマンス向上に寄与することを本研究の目的とした。各選手のスマッシュ動作を複数台のハイスピードカメラにより毎秒300コマで撮影し全身23ポイントおよびラケット、シャトル位置の3次元座標(XYZ)を構築した。左右上前腸骨棘および第4腰椎で構成される平面を骨盤平面とし、これに直交する法線ベクトルとなす空間をX’Y’Z’座標空間とする。各ポイントのXYZ座標をアフィン変換によりX’Y’Z’座標に変換し左右上前腸骨棘間のベクトルと左右肩峰間のベクトルが成す3次元空間内での角度を体幹3Dねじれ角として角度と角速度の変化をみた。また体幹のねじりを身体長軸まわりの捻り角(θ)、体側方向への側屈角(α)および前後方向への背屈角(β)成分にわけて分析をおこなった。その結果、IMT選手の体幹のねじりのほとんどは長軸まわりの捻りによるものであることがわかった。一方、健常者バドミントン選手の捻り角と背屈角の大きさのバランスは様々であり各ねじり成分とラケット速度の間には相関が見られなかった。側屈角については殆どの選手でスイングの初めには0でインパクト前後まで減少(絶対値は増)していたが側屈角とラケット速度の間には相関は見られず側屈がラケットの加速に直接は貢献していないことが示唆されたがIMT選手の側屈は非常に大きかった。