日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題C】ハイパフォーマンススポーツ (トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表①

2021年9月8日(水) 13:45 〜 15:00 会場15 (Zoom)

座長:東浦 拓郎(亜細亜大学)

13:45 〜 14:00

[競技スポーツ-C-01] コンプレックストレーニングはハンドボール競技のシュート速度を高めるのか

*牧平 佑成1、松永 智2、會田 宏3、藤本 元3 (1. 筑波大学大学院体育学学位プログラム、2. 京都産業大学現代社会学部、3. 筑波大学体育系)

ハンドボールにおいて得点に直結するシュートは、最も重要なプレーである。シュート成功の鍵を握る要因の1つにシュート速度がある。近年、高強度のウェイトトレーニング(WT)に続けてプライオメトリックス(PT)を組み合わせて実施するコンプレックストレーニング(CT)が、WTだけを行うよりもパフォーマンス向上に効果的であると紹介されている(NSCA,2010)。しかし、ハンドボール選手を対象としたCTにより、シュート速度が向上したという結果について報告されていない。そこで本研究では、CTが大学男子ハンドボール選手のシュートの速度に与える影響について検討することを目的とした。M大学男子ハンドボール部に所属する10名をCT群とWT群に分け、通常の練習の他に両群の負荷量がほぼ均等になるトレーニングを3週間、週2回行った。CTでは、ベンチプレス、デッドリフト、メディシンボールを用いたオーバーヘッドスロー、サイドスローを行った。WTでは、ベンチプレス、デッドリフト、ラットプルダウン及びスクワットを行った。測定項目は、スタンディングシュート及びジャンプシュート速度とウェイト種目(ベンチプレス及びデッドリフト)の最大値とした。その結果トレーニング実施前後のシュート速度に両群とも実施前後で、有意な差はみられなかった。また両群間に有意な差はみられなかった。ウェイト種目の最大値は、両群とも実施前後で有意な差がみられたが両群間に有意な差はみられなかった。これらの結果から、本研究ではCTによりシュート速度が増加しなかった要因として、腕をしならせることを強調されるハンドボールのシュートに対して、体幹部への刺激が期待されるPTが効果的でなかったことが考えられる。今後の展望としては、シュート速度の増加を目的としたCTを行う際は、体幹部だけでなく、上肢のPTを検討することが望まれる。