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[競技スポーツ-C-02] 短時間超最大運動時の無酸素性機械効率と短時間運動パフォーマンスの関係
【緒言】短時間運動時の血中乳酸濃度(BLa)当たりの走速度をスプリントエコノミー(SE)として評価する試みがなされている。しかしながら、BLaは無酸素代謝量を定量できない。本研究は、酸素借(AOD)を用いてSEを算出し、短時間運動パフォーマンスとの関係を検討することを目的とした。【方法】対象者は体育会陸上競技部に所属する男子大学生15名(100m:4名、400m:5名、800m:6名)であった。自転車エルゴメーターを用いて、①最大下負荷テストおよび疲労困憊までの漸増負荷運動テスト、②最大酸素借(MAOD)テスト、③3強度で30秒間のスプリントテスト(120%VO2max、150%VO2max、180%VO2max)を行った。また、短時間運動パフォーマンスを評価するために30秒間のWingateテストを行った。SEは3強度のスプリントテストにおける仕事率に対してAODをプロットし、その傾きの逆数とした。SEの高さによって対象者をhigh群とlow群に分けた。高いSEは、運動強度が上がっても、より少ない無酸素代謝量で運動を行うことができることを意味する。【結果】high群はlow群よりもWingateテスト中の平均パワーが有意に高かった(p<0.05)。また、MAODはhigh群とlow群との間に差はなかったものの、VO2maxはhigh群でlow群よりも有意に低かった。対象者の専門種目間で検討したところ、SEは、400m、100m、800mの順に高値を示したことから、種目特性によってSEが異なることが示唆された。【結論】AODによって評価されたSEは、短時間運動パフォーマンスの高さと関係することが示唆された。また、SEは有酸素および無酸素能力の高さによって決定されるものではないことが示唆された。SEを用いて種目適正の判断やスプリントパフォーマンスの評価ができる可能性がある。