日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題C】ハイパフォーマンススポーツ (トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表①

2021年9月8日(水) 13:45 〜 15:00 会場15 (Zoom)

座長:東浦 拓郎(亜細亜大学)

14:15 〜 14:30

[競技スポーツ-C-03] 動脈スティフネスの変動が無酸素性運動パフォーマンスに及ぼす影響

*岡本 孝信1、小林 亮太2、菊池 直樹1 (1. 日本体育大学、2. 帝京科学大学)

【背景】動脈スティフネスの個人の変動は有酸素性運動パフォーマンスの指標である最大酸素摂取量に影響を及ぼすことが報告されている。しかし、動脈スティフネスの増減が無酸素性運動パフォーマンスに及ぼす影響については明らかにされていない。【目的】本研究は動脈スティフネスの日々の個人の変動が無酸素性運動パフォーマンスに及ぼす影響について検討した。【方法】実験1では、健康な成人男性および女性15名を対象に自転車エルゴメーターを用いてウィンゲートテスト(30秒間全力ペダリング運動)を実施し、最大パワーおよび平均パワーを測定した。実験2では、健康な成人男性および女性11名を対象に50メートルタイムトライアル(50m-T)を実施した。両実験におけるウィンゲートテストと50m-Tは1ヶ月の間隔を空け2回実施した。ウィンゲートテストおよび50m-T開始前に動脈スティフネスの指標として上腕—足首間脈波伝播速度(baPWV)、上腕血圧および心拍数を測定した。【結果】実験1において、最大パワーおよび平均パワーが高い時のbaPWVは最大パワーおよび平均パワーが低い時と比較して有意に低値を示した(P<0.05)。一方、実験2において、50m-Tの記録が速い時のbaPWVは50m-Tの記録が遅い時と比較して有意に低値を示した(P<0.05)。対照的に、実験1および2における上腕血圧および心拍数は最大パワーおよび平均パワーが高い時と低い時、50m-Tの記録が速い時と遅い時の比較において有意差は認められなかった。また、実験1および2において、最大パワー、平均パワーおよび50m-Tの記録の1回目から2回目の変化とbaPWVの変化の間に有意な相関関係が認められた(P<0.05)。【結論】本研究の結果から、動脈スティフネスの日々の個人の変動は無酸素性運動パフォーマンスに影響を及ぼす可能性が示唆された。