The 71st Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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Oral (Theme)

競技スポーツ研究部会 » 【課題C】ハイパフォーマンススポーツ (トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表②

Wed. Sep 8, 2021 1:45 PM - 2:55 PM Room 16 (Zoom)

Chair: Hayato Onuma (Kansai University of Social Welfare)

2:35 PM - 2:55 PM

[競技スポーツ-C-09] 2021年現在のわが国の陸上競技中長距離競技者におけるテーパリング戦略に関する研究

刺激練習の実施状況に着目して

*Tsubasa Obata1, Kyota Takami1 (1. Hosei Univ.)

 わが国の陸上競技中長距離競技者は、最後の仕上げとしてレースの直前に、レースよりも短い距離を用いた刺激練習と呼ばれるトレーニングを行うことが多い。山内(1995)が、レース前のトレーニングについて調査した研究では、レースペースまたはそれよりも速いペースで、レース前日に、1000m走を用いた刺激練習を行うことが多いと報告した。山内(1995)の研究から、約25年が経過し、科学的、技術的、情報的にも飛躍的な進歩を遂げており、現在は、当時のトレーニング環境と異なると考えることは容易である。また、山内の研究(1995)の対象者は高校生以上であり、中学生競技者における刺激練習の実施状況は明らかとなっていない。そのため、中学生競技者を含めた現在のわが国におけるレース前の刺激練習の実施状況について再検討する余地があると考えられる。そこで、本研究は、わが国の中学生以上の中長距離競技者を対象に、現在の刺激練習の実施状況を明らかにすることを目的とした。
 調査は、陸上競技中長距離競技者を対象に、2020年9月1日~2021年1月20日までの間に質問紙法を用いて実施した。刺激練習の実施状況、実施日、実施形態、実施強度を調査した。有効回答数は248枚で、回収率は60.6%であった。統計解析には、χ²検定、残差分析を行った。
 その結果、98.4%の競技者が刺激練習を実施していた。61.4%の競技者がレースの1日前に刺激練習を実施し、レースから日にちが遠ざかるにつれて実施率が低下した。刺激練習に用いる距離は、1000mが62.9%だった。レースペースよりも速いペースで実施する競技者が70.5%だった。
 現在においても、1995年と同様の方法(レースの1日前にレースペースよりも速いペースで1000mを走る)で刺激練習を実施していることが明らかとなった。中学生競技者の刺激練習の実施状況は新たな知見である。