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[競技スポーツ-C-14] サッカーの攻撃プレーにおける機械学習を適用したシュート予測モデルの構築
現代の競技スポーツは、スポーツアナリティクスによってデータ主導型のコーチング及び戦術トレーニングが導入されている。試合中に測定されるパフォーマンスデータは、テクノロジーの進化によって情報量が増え、現在では「スポーツのビッグデータ」と呼ばれるようになった。しかし、情報量が膨大であるがゆえに、従来の分析手法では拡張性がないと指摘されており、機械学習による分析を体系化する必要性ある。このような背景から、本研究は、サッカーのゲームパフォーマンス・ビッグデータを用いて、攻撃プレーがシュートするか否かを予測する機械学習モデルの構築を目的とした。先行研究の測定項目(以下、旧測定項目群)をベースとして、デルファイ法を適用し、攻撃プレーを測定する45項目(以下、新測定項目群)を作成した。2011年度のJリーグにおける全試合のボールタッチデータ(n=1,312,117)を、新測定項目群の定義に基づいて、1プレーが1行の構造を持つプレーデータセット(n=147,032)に変換し、無作為抽出によって7:3の比率で学習用データと検証用データに分割した。機械学習の手法は、ブラックボックス問題に対して予測過程が比較的明確な決定木分析と、そのアンサンブル学習であるランダムフォレストおよび勾配ブースティング決定木を採用した。目的変数を「シュート」(シュートしたか否かの二値を持つ変数)として予測モデルを構築した結果、勾配ブースティング決定木で23項目を用いたモデルのシュート一致率(予測精度)が82.3%であり、このモデルが最良であった。さらに、旧測定項目群と新測定項目群を比較した結果、新測定項目群の方が、予測精度が高かった。以上のことから、攻撃プレーのシュート予測モデルを構築することができた。今後は、シュート予測モデルを現場のコーチングや戦術トレーニングに落とし込むための実践的研究を継続する。