日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題C】ハイパフォーマンススポーツ (トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表④

2021年9月8日(水) 13:45 〜 15:00 会場18 (Zoom)

座長:梅崎 さゆり(天理大学)

14:15 〜 14:30

[競技スポーツ-C-16] 潜在クラス分析によるサッカー選手の戦術技能特性

*安藤 梢1、高嶋 羽也斗2、松岡 弘樹1、西嶋 尚彦1 (1. 筑波大学 、2. 筑波大学大学院)

【目的】データ主導型コーチングのためには、サッカーゲームで達成された戦術プレーデータから選手の戦術技能特性が評価されることが必要である。本研究の目的は、サッカーゲームで達成される戦術プレーに対する潜在クラス分析から評価されるサッカー選手の戦術技能特性を明らかにすることであった。
【方法】標本は、男子大学サッカー選手141名であった。先行研究で開発したコンピュータ適応型テスト(CAT)を用いてサッカー戦術技能が測定された。個人攻撃技能の測定項目は一次元性のある34項目であり、グループ攻撃技能は22項目、個人守備技能は11項目、グループ守備技能は15項目であった。各戦術技能領域に潜在クラス分析を適用して、標本に潜在するクラスを抽出した。一元配置分散分析と多重比較検定を適用して、潜在クラス間の戦術技能得点の平均値の差を分析した。クロス分析と残差分析を適用して、潜在クラスとポジション(FW、AMF、DMF、SDF、CDF、GK)との関連を分析した。
【結果】個人攻撃技能では高・中・低技能の3つの潜在クラスが抽出され、技能得点は潜在クラス間に有意差があった。潜在クラスとポジションとの間に有意な関連があり、個人攻撃の低技能群ではFWが有意に多数であった。グループ攻撃技能、個人守備技能、グループ守備技能では同様に高・中・低技能群が抽出された。グループ攻撃高技能群ではAMFが有意に多数であり、FWは少数であった。個人守備の低技能群ではDMFは有意に少数であり、GKが有意に多数であった。グループ守備の高技能群ではCDFが有意に多数であり、中技能群ではFWが有意に少数であり、低技能群ではSDFが有意に少数であった。
【結論】サッカーゲームで達成された戦術プレーデータに潜在するクラスからサッカー選手の戦術技能特性が評価され、各ポジションに要求される戦術トレーニングへの手掛かりが明らかとなった。