日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題C】ハイパフォーマンススポーツ (トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表⑤

2021年9月8日(水) 13:45 〜 15:10 会場19 (Zoom)

座長:土屋 裕睦(大阪体育大学)

14:20 〜 14:35

[競技スポーツ-C-20] 認知機能トレーニングが認知能力の向上の仕方に与える影響

*滝沢 宏人1、星野 秀樹2、渡邊 奈々3、天野 勝弘4 (1. 愛知大学名古屋体育研究室、2. 愛知文教女子短期大学、3. 昭和大学スポーツ運動科学研究所、4. 環太平洋大学スポーツ科学センター)

相手の動きや味方の動きを瞬時に把握・予測して、動きを選択する能力はスポーツ競技において重要である。この能力は認知能力と呼ばれており、注意力が基盤となっている。近年、スポーツにおける認知能力を評価し、トレーニングするシステムが開発された(ニューロトラッカー:Neurotracher社製、カナダ)。このシステムは、ディスプレイ上に複数のボールが表示され、その中から数個のターゲットとなるボールが指定される。指定されたボールを含むすべてのボールが数秒間ランダムに移動した後停止する。停止後にターゲットのボールを指摘し、正解すると難易度(ターゲットの移動速度)が上がっていくもので、20回のトライアル(1セッション)の後、どの程度の速度まで認識できるかというスコアが提示される。

スコアはトレーニングを積むことによって向上していくもので、トレーニングの頻度や時間については指標があるが、どの程度行えば効果が表れるかといった報告はなく、通常はできる限り多くと言う答えになっている。しかし、トレーニングの設計や選手のモチベーションを考えると、目標となるべきトレーニング期間の提示は重要である。そこで本研究では、トレーニング実施回数にともなうスコアの向上度を調べることを目的とした。被検者は大学女子バスケットボール選手13名(平均競技歴:10.6年)およびジュニア新体操選手24名(小学2年~高校3年)であった。その結果バスケットボール選手では、50セッションあたりまでは直線的にスコアが向上することがわかった(r=0.778、p=0.0014)。今後さらにトレーニングを続けていくとどのように向上していくのか、どこまで直線的に向上していくのか、限界はどのあたりにあるのかなどを調査して発表する。