14:50 〜 15:10
[競技スポーツ-C-23] 盗塁のスタート反応における予測に対する確信度、走塁パフォーマンス、および選択反応時間の関係
【目的】厳しい時間的制約下で予測にもとづくプレー選択を迫られる状況では、予測の確度が十分に高くならなくても実行を決断せざるを得ないこともある。このとき、選択されたプレーのパフォーマンスはどうなるか。野球の盗塁において、ランナーは投手が打者に投球するか、ランナーを牽制するか、投球モーションを見て予測し、前者と判断したらスタートを切る。これまでに、われわれは各ランナーの投球方向予測に対する確信度が高い試技ほど走塁スプリントタイムは短縮することを示してきた。本研究では、加えて、ランナーの選択反応時間を測定し、これらの関係を検討した。
【方法】大学野球部員20名は、1塁ランナーとして投手の投球モーション映像を見て、打者への投球と判断したら2塁へスプリント、牽制と判断したら帰塁する課題を24試技実施した。走塁パフォーマンスは、盗塁スタートから10 mに到達するまでのスプリントタイム(s)にて評価した。予測の確信度は、スプリント直後に0(まったく確信なし)―10(完全に確信している)のvisual analog scale(VAS)にて測定した。さらに、各対象者の選択反応時間をPCにて測定し、これとそれぞれの対象者の映像条件タイムの平均値(平均映像タイム)と平均確信度の相関係数を計算した。
【結果】対象者内での分析結果とは異なり、平均確信度と平均映像タイムとの相関関係に有意性は認められなかった。選択反応時間と平均確信度は正の相関関係にあり、選択反応時間が長い対象者ほど、確信度は高かった。選択反応時間と平均映像タイムも正の相関関係にあり、選択反応時間が短い対象者ほど走塁は速かった。選択反応時間を制御変数とする偏相関分析は、平均確信度と平均映像タイム間の有意な負の相関関係を見出した。
【結論】選択反応時間の短いランナーは予測確度のスタート閾値が低く、走塁パフォーマンスは比較的高い。
【方法】大学野球部員20名は、1塁ランナーとして投手の投球モーション映像を見て、打者への投球と判断したら2塁へスプリント、牽制と判断したら帰塁する課題を24試技実施した。走塁パフォーマンスは、盗塁スタートから10 mに到達するまでのスプリントタイム(s)にて評価した。予測の確信度は、スプリント直後に0(まったく確信なし)―10(完全に確信している)のvisual analog scale(VAS)にて測定した。さらに、各対象者の選択反応時間をPCにて測定し、これとそれぞれの対象者の映像条件タイムの平均値(平均映像タイム)と平均確信度の相関係数を計算した。
【結果】対象者内での分析結果とは異なり、平均確信度と平均映像タイムとの相関関係に有意性は認められなかった。選択反応時間と平均確信度は正の相関関係にあり、選択反応時間が長い対象者ほど、確信度は高かった。選択反応時間と平均映像タイムも正の相関関係にあり、選択反応時間が短い対象者ほど走塁は速かった。選択反応時間を制御変数とする偏相関分析は、平均確信度と平均映像タイム間の有意な負の相関関係を見出した。
【結論】選択反応時間の短いランナーは予測確度のスタート閾値が低く、走塁パフォーマンスは比較的高い。