14:00 〜 14:20
[競技スポーツ-C-25] GPSデバイスを用いて定量化されるトレーニング負荷と神経筋疲労との関係
男子大学陸上競技400m走競技者を対象として
本研究では、全地球測位デバイス(以下GPSデバイス)を用いて定量化されるスプリントトレーニングの負荷が、それに続く神経筋疲労状態に及ぼす影響を検討するため、男子大学陸上競技短距離走の400m走選手1名を対象に、10週間の期間で縦断的な測定を行った。対象の期間において、毎日のトレーニング開始前に、対象者にGPSデバイス(Catapult社製)を装着し、そこから得られる座標データを元に、測定日の総走行距離、さらに速度域ごとの総走行距離を算出し、これをスプリントトレーニングの負荷として分析した。なお、速度域は対象者の最大速度に対する割合で分類した。また、トレーニングの終了後30分以内に、対象者の主観的な疲労度を答えさせ、測定日のトレーニング時間を分単位で記録し、これら2つの値の積からトレーニング負荷(以下TRIMP)を算出した。神経筋疲労の評価として、週に一度床反力計(Kistler社製)上での垂直跳び(以下CMJ)を行わせ、そこから算出される力学的変数とトレーニング負荷との関係性を検討した。その結果、GPSデバイスを用いて測定された総走行距離とTRIMPとの間に有意な正の相関関係が認められた(r=0.723, p=0.043)。さらに、各週における最大疾走速度の70%以上の総走行距離と、翌週の初めに行われたCMJ中のEccentric Average Powerとの間に有意な正の相関関係が認められた(r=0.787, p=0.02)。以上の結果から、GPSデバイスを用いたスプリントトレーニングの負荷の定量化に関する妥当性が示され、スプリントトレーニングの負荷の増大が、それに続くトレーニング期間における選手の神経筋疲労状態に影響を及ぼしている可能性が示された。