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[生涯スポーツ-C-05] 質的アプローチによる女性高齢者の貯筋運動教室終了後における運動行動変容と関連要因
高齢者の運動行動変容については、運動の継続・中断要因について樋上(1996)らをはじめ多くの研究報告がみられるが、運動教室介入終了後の高齢者の長期にわたる自主的な運動継続過程や継続・中断要因を質的かつ縦断的に検討した研究は少ない。本研究は、自重でできる福永哲夫氏考案の「貯筋運動」の教室終了後10か月間の女性高齢者の運動行動変容及び関連要因を質的アプローチから明らかにすることを目的とした。研究対象は、2019年7月から9月までの3か月間に北海道F町で実施された介護予防の為の貯筋運動教室に参加した女性高齢者13名である。対象者に対して教室終了から10ケ月後までの貯筋運動実施状況と関連要因について、2020年8月に回想法によるインタビュー調査を実施した。分析は調査結果を時系列的に整理した逐語録の質的データに対して、テキストマイニングのKHコーダーを使って行った。教室終了後と10か月後に実施した体力測定等の結果は参考資料とした。まず運動行動変容についてみてみると、貯筋運動教室終了後から3ヶ月後では継続群(維持期・実行期)が9名(69.2%)、6か月後では7名(53.8%)、10か月後では8名(61.5%)であった。KHコーダーによる分析結果のうち類似した言語の集合体で形成される共起ネットワークでは、全期間を通して自主的に実施した運動内容や教室指導などの「運動プログラム」と、取組の際の簡便性などといった「運動の特性」に関するものが多くみられた。時系列的な特徴は、教室終了後から3か月後では積極的な参加動機が、一方、6か月後ではコロナ感染の始まりや積雪寒冷期間などの環境変化による中断理由がみられた。10か月後では運動継続による運動効果の自覚と運動からの離脱状況を示す内容の両方がみられた。運動継続群では、運動プログラムと運動の特性、さらには運動への取組状況などに関したものがみられた。