日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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生涯スポーツ研究部会 » 【課題C】人生100年時代に向けていかに人々のスポーツ権を保障するか

生涯スポーツ研究部会【課題C】口頭発表②

2021年9月8日(水) 14:20 〜 15:15 会場22 (Zoom)

座長:館 俊樹(静岡産業大学)

14:55 〜 15:15

[生涯スポーツ-C-07] 知的障害者スポーツのボランティア活動への参加を促す有効な手立てについて

参加阻害要因に着目して

*髙橋 一真1、澤江 幸則2、大山 祐太3、齊藤 まゆみ2、松原 豊2 (1. 筑波大学大学院 、2. 筑波大学、3. 北海道教育大学)

スポーツ庁(2019)によれば、知的障害者のスポーツ実施率は第二期スポーツ基本計画で定められた目標と比べると低く、その要因としてスポーツ環境が不十分であることが指摘されている。今後、障害者のスポーツ活動を発展させるためにはスポーツ環境のうち、人的環境の充実が重要であると考え、とりわけボランティアの存在が必要であると考えられている。しかし、障害者スポーツのボランティア活動への関心が低いことや若年層のボランティア参加率が低いこと、大学生の障害者スポーツへの関心が低いことなど、支える側の課題は多く指摘されている。そこで本研究では、知的障害者対象のスポーツボランティア活動への大学生の参加を促す有効な手立てについて明らかにすることを目的とした。
その目的を達成するため、2020年12月中、知的障害者対象のスポーツボランティア活動に参加したことのない大学生計53名を対象に、先行研究においてあまり指摘されてこなかった参加阻害要因を中心にアンケート調査を行った。その結果について性別や知的障害者スポーツの観戦経験の有無を要因にクロス分析を行った。
その結果、参加阻害要因として「当てはまる」「とても当てはまる」と回答された割合を項目間で比較したところ、「身近に行える環境がない(69%)」が一番高く、二番目は「時間がない(67%)」、三番目は「募集しているのを知らない(63%)」と言った結果となり、これらが阻害要因となりうることが考えられた。一方で属性間において統計的に有意な差がなかったことから、こうした阻害要因は、性別や観戦経験による影響はない可能性が示唆された。
以上の結果をもとに、大学生がボランティアとしてスポーツ活動に参加するための条件について検討した。