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[健康福祉-C-05] 運動学習における高圧高酸素暴露の効果
近年、コンディショニング等で注目されている高気圧高酸素曝露は、空間学習・記憶に効果があることが報告されている。また、最近の報告では、高気圧高酸素曝露により運動課題の成績も有意に向上することが報告された。これらのことから、高気圧高酸素環境への曝露が脳神経細胞レベルに影響を与え、効果的に運動学習を促進させる可能性が考えられるが、現在まで明らかにされていない。本研究の目的は、高気圧高酸素曝露による運動学習課題への影響を調査することである。8週齢C57BL6(雄性) を対象に、高気圧高酸素曝露群(高圧群:n=8, 2.0ATA, 100%酸素)と常圧常酸素群(常圧群:n=8)の2群で検討した。高気圧高酸素環境は、100%酸素を用いてチャンバー内を2.0ATAとし、高圧群に70min/dayを20日曝露した。運動学習課題は加速式回転棒課題(棒幅3cmおよび6cm, 回転速度4rpm~40rpm, 加速0.8rpm/sec, カットオフ45sec)を用い、連続5試行の回転棒上歩行合計時間を学習の指標とした。学習課題は、3日連続で実施した。棒幅3cmにおいて、高圧群および常圧群ともに1日目vs2日目、1日目vs3日目で有意な差が認められた。しかし、棒幅6cmにおいて、常圧群に日数条件の主効果は認められなかったが、高圧群に日数条件の主効果が認められ各日数比較において有意な差が認められた。回転棒課題は棒幅が大きいほど課題難易度が高いことが報告されており、高気圧高酸素暴露はより難易度の高い運動学習にポジティブな影響を与えることが示唆された。