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[健康福祉-C-06] 幼児期における視機能得点と体力の関連について
本研究は、幼児期におけるランダムな光刺激への反応時間と体力の関連を検討することを目的とした。対象者は、私立幼稚園に通う年長児219名(男児108名、女児111名)であった。視機能の測定には視機能トレーニング機(Supreme Vision L)を使用し、ランダムな光刺激に対してボタンを押すことができた回数を測定し、その値をTスコア化したものを視機能得点とした。体力の測定には幼児用体力テストを用い、項目ごとに性別および年齢別(0.5歳区分)にTスコア化し、3群(上位群≧60、40≦中位群<60、下位群<40)に分類した。また、体力7項目の主成分分析から得られた第一主成分得点を各項目と同様にTスコア化し、体力総合得点とした。体力3群間における視機能得点の差を検討するために、一要因分散分析を用い、有意な主効果が認められた場合には、Tukeyの多重比較検定を適用すると共に効果量(Hedges’g)を算出した。また、体力と視機能得点の複合的関連を検討するため、視機能得点を従属変数、体力テスト7項目を独立変数とした重回帰分析を行った。分析の結果、有意な群間差が認められた項目は、男児では握力および体力総合得点の2項目、女児では握力、25m走、ソフトボール投げおよび体力総合得点の4項目であった。男女の握力、体力総合得点および女児のソフトボール投げでは中位群が下位群と比べて、女児の25m走および体力総合得点では上位群および中位群が下位群と比べて有意に高い値を示した。重回帰分析の結果、女児の25m走が視機能得点に有意に影響する項目として認められた。以上のことから、幼児期における不規則な外的刺激に素早く反応する力は、総合体力が高い幼児ほど高くなることが示唆された。特に男児では筋機能、女児では素早さと力強さを発揮するためのスピード能力、動作を調整する協応性および筋機能の発達と関連することが推察された。