14:15 〜 14:30
[スポーツ文化-C-03] 1930年代日本における女子デンマーク体操の再現と測定
実験スポーツ史による試み
本研究の目的は、文献資料でしか確認できていない戦前期の体操を対象として、発掘・収集し得た映像資料に基づいて体操の動きを再現および測定し、歴史的考察を試みることである。
本事例で再現した体操は、1934年まで自由学園で教鞭をとっていたクローン女史が日本人女子学生に対して指導していたニルス・ブック基本体操(以下、女子デンマーク体操)である。主映像は、クローンが離日する際に制作された映像(1934、自由学園所蔵)であり、補完映像は、ブックが来日した際に撮影された映像(1931)である。
再現にあたっては、主映像の編集により動作が不詳な部分を補完映像から補足した。加えて、デンマーク体操実践歴10年(指導歴6年)が再現者となることで技術要素(リズム、テンポ、動きの深さ)を補填した。また、再現時には、実施者の胸部に心拍センサ(polar社)を装着して心拍数を記録し、比較のために現行ラジオ体操実施時の心拍数も測定した。
結果は、テンポをBPM95とし、補完映像から2つの動作を補足することで、女子デンマーク体操の25の動きを再現した。ただし、指先の細部の動作までは再現できなかった。また、再現時の心拍数(BPM)は、最大130(123)、最小75(87)、平均110(107)であった(安静時心拍数は75、括弧内はラジオ体操測定時の数値)。
再現した女子デンマーク体操の動きを現行ラジオ体操の動きと比較すれば、特徴的な類似点はルルヴェからプリエへの動作であり、相違点は腕振時に腕の交差や巧緻性を伴う複雑な動きの有無であった。他方で、女子デンマーク体操では、早い動作(1テンポ1動作)が心拍数に影響したと考えられる。
本研究の意義は、数値化によって比較可能な好個な資料を提示し得たこと、当時の女学生に内在した非操作的身体領域を明らかにする一助となったことである。
本事例で再現した体操は、1934年まで自由学園で教鞭をとっていたクローン女史が日本人女子学生に対して指導していたニルス・ブック基本体操(以下、女子デンマーク体操)である。主映像は、クローンが離日する際に制作された映像(1934、自由学園所蔵)であり、補完映像は、ブックが来日した際に撮影された映像(1931)である。
再現にあたっては、主映像の編集により動作が不詳な部分を補完映像から補足した。加えて、デンマーク体操実践歴10年(指導歴6年)が再現者となることで技術要素(リズム、テンポ、動きの深さ)を補填した。また、再現時には、実施者の胸部に心拍センサ(polar社)を装着して心拍数を記録し、比較のために現行ラジオ体操実施時の心拍数も測定した。
結果は、テンポをBPM95とし、補完映像から2つの動作を補足することで、女子デンマーク体操の25の動きを再現した。ただし、指先の細部の動作までは再現できなかった。また、再現時の心拍数(BPM)は、最大130(123)、最小75(87)、平均110(107)であった(安静時心拍数は75、括弧内はラジオ体操測定時の数値)。
再現した女子デンマーク体操の動きを現行ラジオ体操の動きと比較すれば、特徴的な類似点はルルヴェからプリエへの動作であり、相違点は腕振時に腕の交差や巧緻性を伴う複雑な動きの有無であった。他方で、女子デンマーク体操では、早い動作(1テンポ1動作)が心拍数に影響したと考えられる。
本研究の意義は、数値化によって比較可能な好個な資料を提示し得たこと、当時の女学生に内在した非操作的身体領域を明らかにする一助となったことである。