14:30 〜 14:45
[スポーツ文化-C-04] 2代目ラジオ体操の「動き」に関する歴史的研究
3代目ラジオ体操における柔軟性要素との比較を通じて
本研究の目的は、日本人が体操を通じて身体的な能力をどのように改善・向上させてきたのかを明らかにするために、消失した過去の体操の「動き」を歴史的に評価するという実験スポーツ史の一手法を提案することである。
本事例では、まず、基準となる体操を設定した上で、この体操の動きを映像のみから測定・評価する。次に、比較対象となる過去の体操を分析することで、この体操の動きがどのように歴史的に評価可能かを考察する。具体的には、現行の3代目ラジオ体操第1の柔軟性に関わる内容を映像から測定・評価し、2代目ラジオ体操第1と比較分析した上で、歴史的考察を試みた。
3代目ラジオ体操第1は、NHK制作の「テレビ体操」(2015年)映像を対象とした。柔軟性の要素は、頸(4)、肩甲帯(4)、肩(8)、肘(2)、前腕(2)胸腰(4)、股(6)、膝(1)、足(4)の関節可動部位(括弧内は動きの方向)について最大角度を判定しスコアを算出した。また、同様の部位を動作分析ソフト(Dartfish ProS)で通時的に把握し、柔軟性への作用の視覚化を試みた。一方の2代目ラジオ体操第1は、日本体操学会のプロジェクトで再現された映像(古川幸子代表作成)を対象として同様の作業を実施し、比較分析した。
柔軟性スコアの結果は、2代目ラジオ体操第1の方が3代目ラジオ体操第1より頸、肘、膝以外で低いと判断された。他方で、柔軟性作用の総量は、2代目ラジオ体操第1の方が3代目ラジオ体操第1より約25%高くなった。
この結果を歴史的に評価するとすれば、2代目ラジオ体操第1の動きは、3代目ラジオ体操第1と比べて体幹以外への動きによる見かけの柔軟性が高かったと示唆された。すなわち、2代目ラジオ体操が実施されていた時代は、創案者が意図していたかどうかは別として、戦時下における身体観の連続的側面が残存していたと推察される。
本事例では、まず、基準となる体操を設定した上で、この体操の動きを映像のみから測定・評価する。次に、比較対象となる過去の体操を分析することで、この体操の動きがどのように歴史的に評価可能かを考察する。具体的には、現行の3代目ラジオ体操第1の柔軟性に関わる内容を映像から測定・評価し、2代目ラジオ体操第1と比較分析した上で、歴史的考察を試みた。
3代目ラジオ体操第1は、NHK制作の「テレビ体操」(2015年)映像を対象とした。柔軟性の要素は、頸(4)、肩甲帯(4)、肩(8)、肘(2)、前腕(2)胸腰(4)、股(6)、膝(1)、足(4)の関節可動部位(括弧内は動きの方向)について最大角度を判定しスコアを算出した。また、同様の部位を動作分析ソフト(Dartfish ProS)で通時的に把握し、柔軟性への作用の視覚化を試みた。一方の2代目ラジオ体操第1は、日本体操学会のプロジェクトで再現された映像(古川幸子代表作成)を対象として同様の作業を実施し、比較分析した。
柔軟性スコアの結果は、2代目ラジオ体操第1の方が3代目ラジオ体操第1より頸、肘、膝以外で低いと判断された。他方で、柔軟性作用の総量は、2代目ラジオ体操第1の方が3代目ラジオ体操第1より約25%高くなった。
この結果を歴史的に評価するとすれば、2代目ラジオ体操第1の動きは、3代目ラジオ体操第1と比べて体幹以外への動きによる見かけの柔軟性が高かったと示唆された。すなわち、2代目ラジオ体操が実施されていた時代は、創案者が意図していたかどうかは別として、戦時下における身体観の連続的側面が残存していたと推察される。