The 71st Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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スポーツ文化研究部会 » 【課題C】多様なスポーツ文化の保存・流通・促進をいかに刷新していくか

スポーツ文化研究部会【課題C】口頭発表②

Wed. Sep 8, 2021 1:45 PM - 3:15 PM Room 8 (Zoom)

Chair: Hiroshi Kubota (Tokyo Gakugei University)

3:00 PM - 3:15 PM

[スポーツ文化-C-11] 「ハイブリッド」としての合気道

指導理念と身体技法からの考察

*XIONG TIANYU1 (1. Tenri University)

1.背景・目的

 合気道は、1920年代頃に植芝盛平により創始された武道である。植芝盛平が亡くなった後、柔道のように統一することなく、多数の組織が存在する現状になっている。その中で、競技を行わない団体と、競技を実践する団体に分けることができる。

 このように、合気道のあり方には様々な意見があり、その背景、戦後大学生の運動部活動への導入と海外普及の過程において、創始者の植芝盛平の精神性や合気概念が、学生と海外の人々にそれぞれどのように受容されたのかを把握する必要があると工藤(2015)は述べる。特に、植芝盛平没後の各組織の合気理解、つまり指導理念と身体技法について未だ研究の余地を残していることが指摘されている(工藤,2015)。

 そこで、本研究では、「ハイブリッド」という分析概念を用いて、合気道における身体技法と指導理念について、具体的な事例を上げながら考察する。



2.方法

 論文や研究資料を収集し分析すると同時に、合気道道場での聞き取り調査とフィールドワークを通して、指導者の指導理念と身体技法について明らかにする。



3.考察

 ここでは、身体技法と指導理念に分けてハイブリッドの視点から見ていく。

 身体技法から見ると、対徒手(各流柔術)と対武器(剣術、銃剣術、槍術)の技法の融合した体系と捉らえることができる。富木はこの融合した体系を「総合武術」と呼んでおり、それは、日本武道の礎となる柔道の理と剣道の理を融和したことと考えられる。

 指導理念については、東洋思想の基盤となった仏・儒・道・神の思想の上に新興宗教の内容が浸透し、ハイブリッドの様子を呈している。富木の場合には、さらに嘉納治五郎の教育理念と近代スポーツの理念を取り入れた。

 古流武術から現代武道へ変遷してきたように、生き残すために、稽古内容、ルールなどが大きく変貌を遂げた。合気道もすでにハイブリッドし、時代、社会に応じた状況に変容してきたといえる。