日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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スポーツ文化研究部会 » 【課題B】人々の生活に根ざした多様なスポーツ文化をいかに醸成していくか

スポーツ文化研究部会【課題B】口頭発表③

2021年9月8日(水) 09:00 〜 09:55 会場9 (Zoom)

座長:山口 理恵子(城西大学)

09:00 〜 09:15

[スポーツ文化-B-09] 男子新体操の発祥起源を探る

*山田 小太郎1、田原 淳子1 (1. 国士舘大学)

男子新体操は日本発祥のスポーツであり、国内において女子新体操と共に発展し続けている。しかし、国際的には女子新体操はオリンピック種目に導入されているが、男子は日本国内における試合に留まっている。全日本新体操選手権は73回と長い歴史はあるが、これまで学術的な研究は殆どされてこなかった。このスポーツがどのようにして生まれ、現代まで発展を続けてきたのかを解明することは、男子新体操の世界的普及の足がかりになると考えられる。そこで、本研究では、男子新体操の発祥起源の詳細を明らかにすることを目的とした。

男子新体操発祥の背景に関する女子新体操の歴史を調査すると共に、男子新体操創成期の文書類検討、並びに当時を知る先人達へのヒアリングを中心に調査した。

日本における新体操競技の前身は「団体徒手体操」であった。女子新体操第三回世界大会(1967年、コペンハーゲン)を視察した日本の関係者が当時のルールを持ち帰り、日本体操協会内で検討された結果、ヨーロッパで行われている「Modern Gymnastics(当時の新体操の洋名)」と「団体徒手体操」の競技性の類似点に着目し、1968年に団体徒手体操から「新体操」に改名し新たなスタートを切った。ヨーロッパ発祥のModern Gymnasticsは女性のスポーツであり、男性は行われていなかったが、日本体操協会はこれまで男女共に発展してきた「団体徒手体操」の流れを継承し、国内においては男女共に「新体操」に改名した。

本研究により、男子新体操が世界普及していない歴史的経緯が明らかになった。日本で、団体徒手体操として発展していたスポーツが1968年を境に女子はヨーロッパを起源とするModern Gymnasticsのルールを踏まえた「新体操」に、男子は日本の団体徒手体操を起源とした「新体操」として再出発した。この違いが現代における男女の競技性の相違を生み出したといえる。