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[10 保-口-02] 小学校教員養成系大学生の「病原体」に関わる問題場面への理解状況
本研究は、小学校教員養成系大学1年次生が、病原体と病気の起こり方の関係をどのように理解しているかについて、問題場面を通して明らかにすることを目的とした。「教職の意義に関する科目」の1単位時間の授業実践において、小学校体育科保健領域の病原体に関連する問題場面を取り上げ、①理解状況の確認、②説明活動、③振り返りの学習活動を実施し、その回答状況を分析した。問題場面はCommon Cold Research Unitによる実験と先行研究を参考して設定した(Common Cold Research Unit 1965、小浜2002、山田2012)。問題場面の設定は、小学校学習指導要領(平成29年告示)解説体育編の「ア知識 (ア) 病気の起こり方」に準じたものとした。授業は、2019年および2021年入学生を対象に2019年4月26日、2021年5月10日に実践した。病原体の有無によってかぜをひいたか否かを問う質問に対して、「ひいた」を選択した者は、240名(53.9%)、「ひかなかった」を選択した者は、205名(46.1%)であった。かぜを「ひいた」理由としては、「病原体がなくても、体が冷えてしまうため、熱が出るのではないか」等のように発熱、鼻水等の症状をかぜと理解していたり、「濡れたまま放置した事で体温が下がり抵抗力が下がったため、体内等にいた菌(原文ママ)を抑えることが出来なくなったから」などのように免疫力の低下により体内の病原体を抑制できないと理解していた。一方、「ひかなかった」を選択した理由としては、「病原体がなければ、かぜはひかない」や「体が冷え免疫が弱ったとしても、病原体がないため、かぜをひかない」等のように病原体がかぜを引き起こす原因であることを理解していた。以上のように、半数の学生は、病原体が関係することは理解していたが、半数はしていないかった。