日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育科教育学/口頭発表①

2021年9月9日(木) 09:00 〜 10:00 会場12 (Zoom)

座長:吉永 武史(早稲田大学)

09:15 〜 09:30

[11 教-口-02] サッカーを素材とした体育授業プログラムの開発(5)

小学校5年生におけるグループで突破する集団戦術の検証

*清水 将1、鎌田 安久1、中山 雅雄2 (1. 岩手大学、2. 筑波大学)

日本サッカー協会は、小学校の良質な授業においてサッカーとの出会いを保障するため、ゲームを中心とした単元プログラムを開発し、「新・サッカー指導の教科書」を出版している。本研究では、6年間の縦断研究として追跡している5年生を対象にボール運動領域のサッカーを素材とした単元を実践し、その効果を検証した。低学年(キック、ドリブル)、中学年(パス、シュート)の学習内容を踏まえ、高学年では、グループで突破と空いているところから攻撃という集団戦術をテーマとしている。5年生では、32名の児童を4チーム8名に分けて、川渡りドリブル、川渡りパスをタスクゲームとして実施し、メインゲームとしてフィールダー4名とゴールキーパー1名の4対4+GKゲームを行った。ゲームでは、3分のハーフで兄弟チームがフィールダーを交代する。コートの大きさは30m×20m、ゴールは縦2m×横5mである。授業の指導は、教育実習生や特に体育を専門としない教員が行い、メインゲームのゲームパフォーマンスの変化を中心に分析した。授業の活動量は、単元が進むにつれて1人あたり平均で3,002歩から3,758歩に向上した。メインゲームのパフォーマンスでは、触球数が各授業の平均で5回から7回に増加した。各授業における全体の触球数とシュート数が有意に向上し、空いている場所に移動したフリーの状態の味方へのパスが多く出現するようになった。単元の始めと終わりに実施したテストにおけるスキル向上の差が見られなかったことから、集団としての戦術達成力が向上したと考えられた。単元の始めと終わりを比較すると、味方の状況を把握したパスや適切な位置に移動してパスを受けようとするオフザボールの動きも増加した。本プログラムによってゴール型の特性である仲間と協力した集団戦術を向上させる効果が示唆され、サッカーの特性を大切にしたゲームの実施が可能と考えられた。