日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育科教育学/口頭発表①

2021年9月9日(木) 09:00 〜 10:00 会場12 (Zoom)

座長:吉永 武史(早稲田大学)

09:30 〜 09:45

[11 教-口-03] 小学校体育科「ボール運動」領域における教材作成の試み

フライングディスクを用いた教材の開発

*鈴木 健一1 (1. 板橋区立高島第三小学校)

小学校学習指導要領解説体育編には、「ボール運動」領域において「ボール操作」と「ボールを持たないときの動き」が示されている。実際の指導においては、諸条件に適したプレイを思考・判断し、意図的・選択的なプレイの実現が困難な場面に遭遇する。そこで本研究は、小学校体育科「ボール運動」領域ゴール型における新たな教材の作成とその効果の検討を目的とする。効果の検討にあたり、「フラッグフットボール」をベースにし、滞空時間が長く、飛行速度の低いフライングディスクを用いて、ボールの保持・パスを組み立てながら攻撃に有効な空間に侵入するといった戦術的課題を学習課題としてクローズアップした教材「フラッグフットディスク」を考案した。公立小学校第5学年4学級を対象に、フライングディスクの投捕動作を身に付ける「キャッチ&スロータイム」、コート内でチームの作戦を確認する「チームタイム」、「ゲーム」で構成した検証授業(全8〜10時間)を実施した。診断的・総括的授業評価「楽しむ」「学ぶ」「できる」次元の得点は有意に高まり、形成的授業評価「成果」「意欲関心」「学び方」「協力」次元の得点は、単元の進度とともに概ね向上したことから、児童が学習効果を肯定的に受け止めていることを確認した。また、投動作の技能調査においては、準備・主要・終末局面に設けた評価観点における動きの向上が確認され、投動作の習熟に対する効果が認められた。一方、毎授業後に自由記述した「声かけ内容調査」においては、記述内容がA「情意的内容」、B「投捕技術的内容」、C「戦術的内容」に分類され、単元の進度とともにCが増加したことから、児童の戦術的課題への意識化が図られたことが確認された。さらに、抽出チームのゲーム分析からは、状況に応じてランとパスを判断して攻撃する意図的・選択的プレイが増加し、「ボール運動」における簡易的なゲームとしての可能性が示唆された。