日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

講演情報

専門領域別研究発表

専門領域別 » 体育科教育学

体育科教育学/口頭発表①

2021年9月9日(木) 09:00 〜 10:00 会場12 (Zoom)

座長:吉永 武史(早稲田大学)

09:45 〜 10:00

[11 教-口-04] ラグビーの教育的価値に関する研究

「ラグビー科学研究」に関する検討

*村田 優作1、下園 博信2、柿山 哲治2 (1. 福岡大学大学院スポーツ健康科学研究科、2. 福岡大学スポーツ科学部)

ラグビーというスポーツはきわめて高い教育的価値があると言われている。その根拠として、ラグビーの教育的価値を語る言葉が多く残されている。ラグビーの精神性の表現として使用される「one for all, all for one」や、2019年ラグビーワールドカップ日本大会で、ラグビー日本代表がチームスローガンとして掲げた「One team」などが具体例としてあげられる。その他にも、嶋崎(2015)は、「自らの判断の基準を確立し、それが無意識のうちに行動に移されるようになる。これこそが理想であり、ラグビーを通した人間形成の目指すところではないだろうか」と述べている。また、国際的なラグビーの統括組織であるWorld rugby が提示しているラグビー憲章には、「ラグビーには勇気、忠誠心、スポーツマンシップ、規律、そしてチームワークといった多くの社会的・情緒的概念が包括されている」とあり、多くの価値が内包されていることが述べられている。
さらに、他の球技より比較的自由度が高いラグビーは、ラグビーをプレイする上で、多くの選択肢の中から、瞬時で的確な判断が求められる。これは、学習指導要領にある「合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫する」ということと合致し、ラグビーは教育的な価値を持っていると考えられる。
本研究においては、ラグビーの教育的価値がどのように議論されてきたのかを鑑み、スポーツ教育や体育領域において、ラグビーが発展していく方略について検討する。そのために、1989年から現在まで全32巻が発行されているラグビーの研究雑誌「ラグビー科学研究」を調査対象とする。その中に掲載されている214件の研究から38件を対象として、「問題解決」「多様性」など、新しいラグビーの教育的価値を探る基礎的な研究をすすめていく。