日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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スポーツ人類学/口頭発表②

2021年9月9日(木) 13:30 〜 14:30 会場13 (Zoom)

座長:松浪 稔(東海大学)、山口 順子(津田塾大学)

13:30 〜 13:50

[12 人-口-03] 子どものスポーツにおける慣習法的ルールに関する研究

*森 克己1、山田 理恵1、渡邉 修希1、藤谷 雄平1、高波 宗人1 (1. 鹿屋体育大学)

スポーツ基本法の前文において、スポーツが青少年の体力向上や人格の形成に大きな影響を及ぼすとし、スポーツの意義に言及している。ところが、青少年のスポーツ活動の中核を担う中学・高校の部活動の実態をみてみると、2021年1月に沖縄県の高校の部活動において顧問教諭による暴言等を苦にして生徒が自殺する事件が発生するなど、依然として指導者による体罰が根絶されていない。また、近年、甲子園に出場するような強豪校の中にも選手の頭髪を丸刈りに限定しない学校も散見されるようになったが、2018年に朝日新聞と高野連が合同で高野連の加盟校に対して実施した調査によると、全体の3分の2を超える(76.8%)学校で野球部員の頭髪を「丸刈り」に決めていると回答している。この結果は、「高校の野球部員=丸刈り」という慣習法的ルールが日本の高校野球の部活動で定着していることを示している。

そのほか、小学校のスポーツ活動から高校の運動部活動に至るまで、試合時の車出しや練習場の草刈り等を保護者が担うこと、レギュラーの選出、試合に出場するメンバーやポジションの割当て等については子ども達自身が指導者に意見を言い難い暗黙のルールが存在する。さらに、部活動は生徒指導の一環であるとの認識から、校庭の掃除等のボランティア活動に参加することなど練習以外の活動に参加することを義務付けている例もみられる。子どものスポーツ活動には子どもや保護者を呪縛する様々な慣習法的ルールが存在するが、スポーツ本来の意義に照らして、それらの慣習法的ルールの合理性を検証し、その呪縛的な非合理性を修正するための具体的な方法を提言する研究は未見である。以上のことを前提として、青少年のスポーツ活動に存在する慣習法的ルールの実態を調査し、それらのルールや青少年スポーツの活動の在り方について考察する。