日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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スポーツ人類学/口頭発表②

2021年9月9日(木) 13:30 〜 14:30 会場13 (Zoom)

座長:松浪 稔(東海大学)、山口 順子(津田塾大学)

13:50 〜 14:10

[12 人-口-04] 伝統スポーツに潜在する極限性

Red Bull TVの事例から

*豊島 誠也1 (1. 広島大学大学院)

 これまで、伝統スポーツの変遷としては、国際スポーツ、観光資源、もしくは消滅という方向が示されてきた。しかし、近年は若者を中心に、伝統スポーツに内在する危険な側面を含む極限性を「エクストリームスポーツ」として捉えるという現象が見られる。

 そういった伝統スポーツの極限性に注目する動きは、エナジードリンクを販売し、エクストリームスポーツのスポンサー活動を積極的に行う、レッドブルのオンラインサイト「Red Bull TV」においても見ることができる。その中のArchaic Festivalsというトピックには、世界各国の過激な要素を含む伝統スポーツの様子が詳細に取り上げられている。

 レッドブルがエクストリームスポーツという視点を保持し、それを前提にしてさまざまなスポーツを商業化しているというのがフィールドの<事実>としてある。しかし、それではこぼれ落ちる現象がある。それは例えば、若者がエクストリームスポーツという視点で伝統スポーツに触れる機会が生まれ、文化の継承に繋がるなどである。そうした側面を掬い上げるために、研究者の視点から伝統スポーツとエクストリームスポーツに共通する“極限性”へアプローチすることが、若者が極限性を有した伝統スポーツに注目するその現象を説明できると考えた。

 本研究では、Red Bull TVの映像を参考資料に、若者を魅了する伝統スポーツとエクストリームスポーツに共通する極限性を捉え、その要素を宗教、身体経験、規定からの逸脱の3つの要素に細分化し検討する。また、そこから極限性を求める若者の経験が伝統スポーツを継承する一翼を担うとして考察することを目的とする。