The 71st Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

Presentation information

Oral (Subdiscipline)

専門領域別 » History

体育史/口頭発表⑤

Thu. Sep 9, 2021 11:00 AM - 11:25 AM Room 3 (Zoom)

Chair: Masayuki Enomoto (Shiga University)

11:00 AM - 11:25 AM

[01 史-口-05] 1914年以前のホッケー書に記述されたイングランドにおける女性のゲームの普及のイメージについて

*Shinobu Akimoto1 (1. Kobe Univ.)

本研究では、19世紀末以降のイギリスで出版された、技術解説書や手引書、年鑑などのホッケー書を史料として、これらの書の著者が、特にイングランドの女性のゲームの普及過程をいかに認識し、記述していたのか、またその認識は、1914年までの時期に、いかに変化したと評価できるかについて検討した。性差に基づき、異なる全国的組織に統括された男性、女性のゲームの普及は、主に男女の統括組織関係者を著者とするホッケー書の出版を伴った。男性の統括組織の役員であったクレスウェルが1890年に出版した、ホッケーのみを扱う最初の単著には、女性のホッケーに関する記述は見られなかった。しかし、1895年のバタースビーの書は、女性のホッケーについて1つの章を充て、スミス、ロブソンらによる1899年刊の大部の書、Hockey: Historical and Practicalは、全4部のうち第3部で女性のホッケーを扱い、女性の著者による2つの章を含んでいた。1901年、ピカリングは、女性著者による、女性のホッケーに関する最初の単著、Hockey for Ladiesを執筆し、1904年には、女性著者による、最も詳細な技術解説書となったHockey as a Game for Womenをトムソンが出版した。以降、初版出版時には男性のホッケーのみに言及が限定されていた書にも、改訂を経て女性のホッケーに関する章が追加されるようになった。これらの書の中で、女性のホッケーの普及のイメージは、一部の有閑な女性に求められた新たなスポーツから、広い階層の女性たちから人気を集める冬季のボールゲームへと更新されていった。