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[02 社-口-07] アスリートに向けられるインターネット上のネガティブなコメントの実態
【目的】アスリートに向けられるインターネット上のネガティブなコメント(誹謗中傷・「炎上」等)の実態を明らかにするため、実際に投稿されたコメントデータを基に調査を行った。MDS(多次元尺度構成法)によってインターネット上の議論を図示し、ネガティブなコメントの存在を示すとともにその特徴について考察をした。 【方法】2020年8月・9月に、Yahoo!ニュースに掲載された大坂なおみ選手に関する記事に投稿されたコメントデータを準備した。このデータは、BLM運動の渦中で開催されたウエスタン&サザンオープンおよび全米オープンを事例とすることを念頭に選定した。はじめにコメントデータの形態素解析を行い、コメント中に出現する語と出現回数の一覧を取得した。次に、「大坂選手」「なおみさん」「こいつ」など、文脈から大坂選手を示すと判断される21語を選定し、それらの語を含むコメントを分析用データとして抽出した。このデータについてMDSによる出現語のマッピングを行い、距離に基づいてクラスタリングを行った。 【結果】分析用データとして3,756件のコメントが抽出された。MDSで出現語を2次元上にプロットした結果、議論のまとまりを表す6つのクラスターが作成された。マップを構成する軸はそれぞれ「大坂選手に対してポジティブかどうか」「テニスに関する議論かどうか」として解釈された。大坂選手を示すポジティブな語として「なおみちゃん」、ネガティブな語として「女(『この女』『わがまま女』等)」が認められた。 【考察】大坂選手に対するネガティブなコメントはMDSで示されたマップの半分以上で存在し、それらを誘発している議論として特徴の異なる3つのパターンが認められた。特に、「スポーツ選手」としての大坂選手はBLM運動に関わって試合をボイコットしたことに対する「炎上」が認められた。