日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学/口頭発表①

2021年9月9日(木) 13:00 〜 14:00 会場5 (Zoom)

座長:星野 聡子(奈良女子大学)

13:20 〜 13:40

[03 心-口-02] Go-before-you-know状況における不確実性の所在による動作パターン変化

*女川 亮司1、向井 香瑛1,2、工藤 和俊3 (1. 早稲田大学・理工学術院、2. 日本学術振興会、3. 東京大学・大学院総合文化研究科)

われわれは最終的な目標状態を決める前に運動を開始することがしばしば求められる。先行研究では、動作開始位置から異なる方向に複数の動作目標がある場合に、初期動作方向が目標の平均位置に向くことが報告されている。しかし、これらの研究は目標までの距離が同等の状況しか対象にしておらず、目標までの距離が異なる状況での運動計画の特徴は明らかではない。また、これまでの研究では動作目標が不確かな状況を対象としていたが、運動においては身体や道具の位置など効果器にも不確かさが存在する。そこで本研究では、(1)方向が等しく距離が異なる2つの潜在的な動作を伴う状況で初期動作速度においても平均化出力が確認されるか、(2)カーソルやターゲットに不確実性がある場合に初期動作速度の計画が異なるか、の2点を検討した。主条件として、参加者は2つの潜在的な移動距離を持つ到達運動を開始することが求められた。Two-cursor条件では、試行開始前に2つのカーソルが提示され、Two-target条件では、2つのターゲットが提示された。また、対照条件として、それぞれの主条件に対応した1つの潜在的な移動距離条件(One-cursor条件およびOne-target条件)を実施した。その結果、対照条件では、初期動作速度が距離に応じて線形に変化した。Two-cursor条件およびTwo-target条件での初期動作速度が対照条件での速度にいかに対応するか検証した結果、Two-target条件では、初期動作速度が平均よりも小さいのに対し、Two-cursor条件では、初期動作速度が平均に近づくことが示された。以上の結果から、距離が異なる動作目標状態が同時に存在する状況では初期動作は各目標に対応する単一動作の平均化として実行されないこと、また、不確実性が動作目標と効果器のどちらにあるかによって初期動作に違いが生じることが示された。