日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学/口頭発表②

2021年9月9日(木) 14:10 〜 15:10 会場5 (Zoom)

座長:兄井 彰(福岡教育大学)

14:10 〜 14:30

[03 心-口-04] スポーツ版実行機能質問紙(Executive Functions Questionnaire for Sports: S-EFQ)作成の試み

*浦 佑大1、高井 秀明2 (1. 日本体育大学大学院、2. 日本体育大学)

実行機能質問紙(EFQ;関口・山口、2017)は、実行機能を簡易的かつ包括的に測定することが可能であるが、日常場面を対象としているため、競技者へそのまま転用できるかは疑問である。したがって、本研究では、EFQのスポーツ版(S-EFQ)を作成し、その信頼性と妥当性を確認することとした。分析対象者は体育専攻学生352名(第一集団215名:男性148名、女性67名、平均年齢20.93±0.46歳;第二集団137名:男性36名、女性101名、平均年齢20.22±0.65歳)であり、第一集団にはS-EFQと日常記憶質問紙、アパシー心理性格尺度の計78項目(指示項目7項目)、第二集団にはS-EFQとメタ認知質問紙法短縮版、感情調節尺度日本語版の計79項目(指示項目7項目)の調査を実施した。探索的因子分析および確認的因子分析、信頼性分析の結果、7因子解(29項目)が得られ、それぞれ「注意の維持(α=.86)」「熱中(α=.83)」「自己意識(α=.83)」「切り替え(α=.79)」「抑制(α=.87)」「計画(α=.73)」「効率(α=.71)」と命名した。なかでも、「抑制」はS-EFQ独自の因子である。野球選手(Yamashiro et al., 2015)やバレーボール選手(Alves et al., 2013)は非競技者よりも抑制機能が高いといわれており、競技場面ではフェイントへの対応など、これまでの運動計画を抑制して反応することが求められる。したがって、競技者は非競技者よりも抑制機能が重要な機能として位置づけられるために、「抑制」因子が本研究では抽出されたものと推察される。また、S-EFQの各下位尺度と関連する心理尺度の各下位尺度との相関分析を行った結果、全ての下位尺度において収束的妥当性が確認された。したがって、S-EFQは一定の信頼性と妥当性が担保されたといえる。