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[03 心-口-05] 大学生アスリートにおける組織コミットメントに関する特徴
組織コミットメントは、組織に所属する個人が自組織に対して抱く心理的な関係 (Allen & Meyer, 1990)と定義されており、高木ら(1997)によって作成された組織コミットメント尺度を用いて、一般企業や医療現場で数多く研究されてきた(e.g., 大﨑、2019)。しかし、スポーツ集団の固有の特徴を反映できる尺度であるかは疑問である。そこで本研究では、スポーツ版組織コミットメント尺度を作成し、スポーツの組織コミットメントの特徴について明らかにすることを目的とした。調査対象者は、A大学体育専攻学生277名であった。調査対象者には、基本属性、スポーツ版組織コミットメント尺度(原案)、集団フォーマル性尺度(新井、2004)、部活動への適応感尺度(吉村、2005)への回答を求めた。まずは、スポーツ版組織コミットメント尺度の因子構造を確認するため、探索的因子分析を行った。その結果、愛着要素、規範的要素、課題的要素、存続的要素、成員的要素、内在化要素の6因子構造(24項目)が抽出され、Cronbachのα係数は満足する水準であった。その解については確認的因子分析を行い、十分な適合度が示された。次に大学生アスリートにおける組織コミットメントに関する特徴を検討した結果、クラブ内で役割がある者はない者よりも「愛着要素」、「内在化要素」の得点が有意に高かった。さらに、所属人数が多いクラブは少ないクラブよりも「規範的要素」、「存続的要素」の得点が有意に高かった。最後に、全国大会以上のアスリートは都道府県大会以下のアスリートより「規範的要素」、「存続的要素」の得点が有意に高く、地方大会のアスリートは都道府県大会以下のアスリートよりも「存続的要素」の得点が有意に高かった。本研究から、スポーツにおける組織コミットメントは、アスリートの属性やクラブの特徴によって影響を受けることが確認された。