The 71st Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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Oral (Subdiscipline)

専門領域別 » Biomechanics

バイオメカニクス/口頭発表①

Thu. Sep 9, 2021 10:00 AM - 10:43 AM Room 6 (Zoom)

Chair: Satoru Hashizume (Ritsumeikan University)

10:00 AM - 10:13 AM

[05 バ-口-01] 筋はどれだけの肘関節外反荷重に耐えられるのか?

外反可動域を制限する筋力を計る

*Kengo Onuma1, Toshimasa Yanai2 (1. Graduate school of sport sciences, Waseda Univ., 2. Waseda Univ.)

筋の収縮には、関節運動を起こすだけでなく、靭帯などと協働して可動域を制限する働きがある。本研究では前腕屈曲回内筋群の肘関節外反可動域を制限する働きに着目し、この筋群が発揮できる外反可動域を制限する筋力(以下「内反筋トルク」とする)の大きさを明らかにすることを目的とした。実験は男子大学生6名を対象に実施した。肘関節90°屈曲位を維持した対象者の上腕長軸がダイナモメータの回転軸と平行になるよう手部および上腕を筋力測定機に固定した。被験者には前腕屈曲回内筋群を全力で収縮させた状態で、肩関節内旋トルク(等尺性)を安静時から2秒かけて最大随意収縮に達するようランプ状に発揮させた。この時、Bモード超音波装置を用いて上腕骨遠位端と尺骨近位端の距離(以下「Gap」とする)を計測し、Gapが開大し始める直前のトルク、すなわち肘関節外反可動域を制限しうる内反筋トルクの最大値を抽出することを試みた。Gapが開大しなかった場合は、計測されたトルクの最大値を最大内反筋トルクとした。実験の結果、被験者の最大内反筋トルクはGapの開大が観察されなかった5名を含め44±11 Nmであった。この結果は、本研究で計測した最大内反筋トルクが実際に被験者の発揮し得る内反筋トルクの最大値を過小評価している可能性を示唆するものの、等尺性収縮時であれば肩関節内旋トルクの発揮に起因する肘関節外反運動を前腕屈曲回内筋群の働きで抑制できることを示している。野球のピッチングでは肘関節で60-100 Nmの内反トルクが必要とされる。本研究の結果は、ピッチングに必要とされる内反トルクの少なくとも40-70 %を内反筋トルクで賄えることを示唆するものである。以上より、前腕屈曲回内筋群はピッチングに必要とされる内反トルクの少なくとも半分を賄うことができ、等尺性収縮で生じる外反荷重に耐えられることが示された。