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[05 バ-口-06] ターン後における減速を抑制する水中ドルフィンキックの検討
競泳競技はスタート後およびターン後15 m区間の水中ドルフィンキックの使用が認められている。Takeda et al. (2009) は、最大努力で壁を蹴った際の泳速度は3.1―3.6 m/sに達し、その後は減速していくため、可能な限り抵抗を軽減して推進することの重要性を示唆している。しかし、これまでの研究において減速しにくい水中ドルフィンキックの特徴は不明である。そこで本研究では、ターン後における水中ドルフィンキックのキネマティクス的変数から、減速を抑制できている選手の特徴を明らかにすること目的とした。本研究ではターン前15 mから泳ぎ始めターン動作を行った後、15 m地点まで水中ドルフィンキックで推進するよう指示した。ターン直後の水中ドルフィンキック3周期と10 m通過前後の水中ドルフィンキック3周期を分析対象とし二次元動作解析を行い、3周期それぞれの平均泳速度、キック頻度、けり幅、各関節可動範囲を算出した。その後、これらの変数と10 m通過前後の平均泳速度をターン直後の平均泳速度で除することで算出した泳速度比率との相関分析を行った。その結果、泳速度比率とターン直後の水中ドルフィンキックにおける足関節可動範囲との間に有意な正の相関関係が認められ(r=0.70、p<0.05)、泳速度比率と10 m通過前後の水中ドルフィンキックにおける足関節可動範囲との間に有意な正の相関関係が認められた(r=0.72、p<0.05)。これらの結果から、ターン後において、減速をより抑制できている選手は足関節の可動範囲を大きくすることで、足部での推進力をより発揮し、抵抗力の低減ではなく推進力の発揮によって泳速度の減速を抑えていた可能性が示唆された。以上より、ターン後において水中ドルフィンキックの泳速度の減速を抑制するためには足関節の可動範囲を大きくすることが重要であると考えられた。