日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】 体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表②

2022年9月1日(木) 14:00 〜 15:03 第10会場 (2号館4階45教室)

座長:春日 晃章(岐阜大学)

14:48 〜 15:03

[学校保健体育-C-08] 児童の運動行動および体力自己評価とGRITスコアの関係(測,発)

*中野 貴博1、四方田 健二2 (1. 中京大学、2. 名古屋学院大学)

[背景・目的]子どもの運動促進に関しては、体力・運動能力の向上のみでは不十分であると考える。つまり、社会的、教育的な効果を見込める運動活動へと変えていかなければ、物資的に満たされた現代において、子どもの体力・運動能力や運動活動の重要性は低下していくことが予想される。本邦では学校体育が根付いていることからも、子どもの運動や体育的活動が、社会的、教育的効果を期待し得るものであると考えられていることは間違いない。近年、社会的成功との強い関連が実証された能力であるGRITは、社会的な能力の代表とも言える。我々は、GRITは子どもの運動実施を通して育むことが期待できる能力であると考えている。そこで、本研究では児童の運動実施、体力の自己評価、運動への嗜好性などとGRITスコアとの関連性を検討することを目的とした。[方法]1~6年生の児童5856名を対象に、平日および週末の一日の平均運動時間、体力の自己評価、運動嗜好性および、8項目で構成されるGRIT尺度を調査した。先行研究に倣い、GRIT尺度の調査データに因子分析を適用し、2つの下位尺度(GRIT根気、GRIT一貫性)の存在を確認した。次に、GRIT全体および各下位尺度のスコアを、主たる構成項目の単純和により算出した。続いて、各GRIT尺度の性別の平均値を分岐値とした2群を構成し、運動時間の差をt検定により検討した。さらに、体力の自己評価および運動嗜好性による各GRITスコアの違いをt検定および分散分析により検討した。[結果・考察]各GRITスコアが良好な児童ほど、運動時間が有意に長いことが確認された。但し、GRIT一貫性スコアだけは、平日の運動時間に有意な差が確認されなかった。体力自己評価が5段階評価で3以上の児童において各GRITスコアが有意に高かった。また、運動への嗜好性が良好な児童ほど各GRITスコアが高いことも確認された。以上より、児童期の運動実施や体力とGRITスコアには有意な関係があることが示唆された。