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[学校保健体育-B-03] ダンスの実技力や実技指導力に関わる運動観察力の醸成に係る教材開発(教)
文部科学省(2015)は、教員養成課程の役割として、教員としての最小限必要な資質能力を学生に身に付けさせることが重要であると示している。教員養成を担う大学の実技授業では、実践的指導力を高めるための様々な取り組みが行われているが、指導力の養成には、示範等に必要な運動技能向上のみならず、動きを評価する力、すなわち運動観察力を育成することも重要である。これまで筆者は、大学のダンス授業内において、ICTを活用した実践(栫ほか,2018)や、技能評価の観点を明示した実践(栫ほか,2019;2020;2021;2022)等、ダンスの指導力を高めるための取組を行ってきた。その結果、運動観察力の育成に関して一定の成果が得られているが、さらにその能力を発展・定着させるためには、授業時間外での学生の自学自修を促すための取組が必要であると考えた。そこで本研究では、ダンスの運動観察力の醸成に係る教材を開発し、その成果と課題を検討することを目的とした。まず、中学校・高等学校の学習指導要領のダンス領域の「技能」の例示の内容を整理し、動きを見る観点を明示する図を作成した。次に各例示について、評価規準及び判定基準(ルーブリック;A・B・Cの3段階)を設定し、判定基準に沿って、A・B・Cの3段階の運動技能、それぞれの映像について学生を見本として撮影・編集し、映像コンテンツを作成した。最後に学内のe-learningシステムを活用し、学修課題や動きを見る観点の図、技能の評価規準・判定基準及び映像コンテンツを閲覧できるよう設定した。本教材については、信頼性・妥当性を高めるため、舞踊教育専門家及びスポーツ運動学研究者、体育科教育学研究者によりメンバー・チェッキングを行った。2022年度前期にダンス授業を履修している学生78名を対象に、作成した映像コンテンツを含む教材を活用して、授業時間外学修として課題に取り組むよう促した結果、学生の運動観察力の向上に貢献しうる可能性が示唆された。