[05バ-ポ-06] 野球のティーバッティングにおける地面反力と体幹のエネルギーフローとの関係
野球のバッティングとピッチングでは体幹の運動が類似している。野球のピッチングでは両足に作用する水平面の地面反力と股関節から体幹へ流入する力学的エネルギーとの間に有意な相関関係が認められていることから、野球のバッティングにおいても同様の関係が存在する可能性がある。また、野球のバッティングでは、体幹を流れる力学的エネルギーとバットのスイングスピードとの間には有意な相関関係が認められていることから、水平面の地面反力がバットのスイングスピードの大きさに間接的に影響を及ぼすことが予想される。そこで、本研究の目的は、野球のバッティング動作中における両足に作用する水平面の地面反力と股関節から体幹へ流入する力学的エネルギーとの間の相関関係を明らかにすることであった。男子大学野球選手30名に最大努力によるティーバッティングを行わせた。ティーバッティング動作をモーションキャプチャーで記録し、両足に作用する地面反力を2台のフォースプレートで測定した。そして、股関節から体幹へ流入した力学的エネルギーを推定し、両足に作用する水平面の地面反力からピーク値を抽出および力積を算出した。さらに、体幹へ流入した力学的エネルギーと地面反力に関する変数との間の相関係数を算出した。その結果、ストライド足に作用する水平面の地面反力とストライド足側の股関節から体幹へ流入する力学的エネルギーとの間に有意な相関関係が認められた。反対に、軸足に作用する水平面の地面反力と軸足側の股関節から体幹へ流入する力学的エネルギーとの間に有意な相関関係は認められなかった。これらの結果から、ストライド足で水平面に力を発揮しやすいフォームを模索することで体幹へ流入する力学的エネルギーが増大する可能性が示唆された。加えて、ストライド足に作用する水平面の地面反力は、間接的にバットのスイングスピードの大きさに影響を及ぼすことが考えられる。